「チームのために、では圧倒的に足りない」 川口能活がスーパーセーブを呼べる理由
「だから、現役を続けている」―42歳、今なお想い続ける“サッカーの魅力”とは
「確かに今は練習着の洗濯もシューズの管理も自分でしなければいけないし、グラウンドもJ1のようないい環境を望めません。でも現役選手にこだわり、続けようと決めたのは自分。そのために必要な努力は惜しまない。僕にとって最も辛いのは試合に出られないこと。
ピッチの外で『何故、出られないんだ』『何故、勝てないんだ』とジリジリする時間はものすごく苦しい。だけど、グラウンドに入れば、練習を、試合をやれる充実感に満たされる。それまでに感じていた辛さなど、一瞬で忘れてしまいますよ」
プロ選手である限り、きれいごとでは済まされないことがたくさんある。でも、それにも勝る魅力がサッカーにはある、と川口。
「サッカーを、GKをやっていることが本当に楽しい。だから、現役を続けているのだと思います。僕は完全にサッカーに取りつかれているんです」
(終わり)
<川口能活、初著作「壁を超える」を刊行>
川口は初著作「壁を超える」をこのほど上梓した。
42歳現役選手を支え続けるものとは何か――。順風満帆に見えて、実際は今ほど整っていない環境での海外移籍や度重なる怪我など辛い時期を幾度も乗り越えてきた。メンタルが問われるゴールキーパーという特殊なポジションで自分自身を支え続けるものは何なのか。
第1章 苦境のおしえ
第2章 人を育てるということ、組織(チーム)を率いるということ
第3章 リーダーの肖像 ――指揮官たちに教わったこと
第4章 厳しかった日々と家族の存在
第5章 「現役」であること、「引退」に思うこと
「あの時」、川口は何を思っていたのか――。
定価:本体800円+税 ISBN:978-4-04-082166—5
【了】
長島恭子●文 text by Kyoko Nagashima