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「女の子は甲子園に出られない」 野球少女をソフトボール天才打者に変えた中3の選択

東京五輪では上野(左)、宇津木監督(中央)とともに山田も金メダルを目指す【写真:荒川祐史】
東京五輪では上野(左)、宇津木監督(中央)とともに山田も金メダルを目指す【写真:荒川祐史】

「どんな道に行っても、目的意識は持ち続けてもらえたら」

「私は自分で見つけた道というより、周りにソフトボールという道を見つけてもらって、それが自分に合っていた。どんな道に行くにしても、何か目標があれば、それに突き進んでほしいし、まだ目標がなくても、その道で見つけてもらえれば、すごく活動している意味が生まれてくる。だからこそ、目的意識というものだけは持ち続けてもらえたらと思う」

 選んだ道で何を目指し、どう努力し、何を得るのか。山田自身、ソフトボールで必死に努力したから人生が変わった。

「『ソフトボールをやる』という選択をしたから、オリンピックにも出ることができたし、たくさんの人に出会うことができた。だから、いろんな人に恩返ししたいという気持ちにもなれた。出会いがなければ、こんな気持ちになれなかったし、誰かに何かを伝えることもなかなかできない。だから、私はそういう機会もソフトボールにもらっていると思う」

 ソフトボールという競技の価値について「誰かを思いやる気持ち、支えに感謝する気持ちは競技を通して学んだ」という。だからこそ、今は第一人者としてソフトボールをより発展させ、広めていくというのが、最大の目標だ。

 1年後に行われる東京五輪は、その大きなアピールの機会になる。

「やっぱり一番はオリンピック競技としてソフトボールがずっと続いてほしい。そして、ソフトボールが一つの職業として成り立つ環境になってほしい。今は働きながらやっている人がほとんど。競技だけに集中してなれる環境になってくれたら、男の子が『プロ野球選手になりたい』と思うように、ソフトボール選手になりたい人も増える。そういう未来を築いていけたら」

 あの時、「甲子園」という夢が絶たれたから生まれた「ソフトボールで五輪金メダル」というもっと大きな夢。しかも、日本開催。2021年の夏は、山田恵里の人生にとって、中学3年生でした選択を証明する特別な舞台になる。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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