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100mを「3か月で1秒」短縮 “世界最速”ボルトと練習し、導き出した「究極の走り」

一途に打ち込む姿を見て、ボルトが自宅にも招待

 そもそも英語では、ランニングとスプリントが明確に分かれている。当然双方のテクニックは異なり、速く走るには文字通りスプリント(バネ)を活かす理論に基づく動きが求められる。実際ジャマイカにはスプリント理論があり、和田が到達した動きを「サイクリング」と呼んでいた。

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 上体を真っ直ぐに立てて、足裏前方で地面を叩き、弾みをつける。その勢いを利して、振り下ろした前足と入れ替え、回転していく。

 日本では、そこに無意識に近づいたのが「足の速い人」で、そうでない人たちは才能のない鈍足と諦めていた。

「レーサーズ・トラック・クラブ」の練習は過酷だった。しかし和田はさらに毎朝1人で汗を流した。そんな一途に打ち込む姿を見て、ボルトが自宅にも招待してくれた。「Chin(中国人の略)」「JAPAN」「ケン」と変遷したチームメートからの呼称は、最後に「Brother(兄弟=親しみの最上級表現)」に変わっていた。

 3か月間を過ごして帰国した和田は、100メートルを10秒8で駆け抜けた。

(第4回へ続く)

[プロフィール]
和田賢一(わだ・けんいち)

1987年12月8日生まれ。日本のビーチフラッグス第一人者でビーチフラッグス全日本選手権3連覇、世界最高峰の全豪準優勝。走力を磨くために単身ジャマイカに乗り込み、3カ月間ウサイン・ボルトとともにトレーニングを積み、100メートルのベストを一気に1秒更新。誰でも速く走れる「走り革命理論」を確立し、トップアスリートをはじめ日本中へと広め、走ることの成功体験を通じ、子供が夢に向かって一歩を踏み出す勇気を届ける講演を行っている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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