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ナバレッテの目は輝いた― Sバンタム級最強王者に聞いた「VS井上尚弥」の可能性

早期対戦の可能性は低いが、お互いが勝ち続けるならば…

 一方、井上はまずはWBO正規王者ノニト・ドネア(フィリピン)とのアジア・メガファイトに集中しなければいけない。ドネア戦を無事にクリアしたとして、11月に開催予定とされるWBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)対暫定王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)の勝者のような戦うべき相手もバンタム級に残っている。そう考えていくと、間違いなくエリートレベルの力を持った2人の早い時期の対戦の可能性は、やはり低そうではある。

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 ただ、先を焦る必要はないのだろう。周辺階級で勝ち続ければ、いつか2人の道が交錯する機会はあるかもしれない。強豪対決が比較的容易に実現する軽量級のスター選手であれば、それはなおさらだ。ナバレッテも井上との対戦には相当の興味があるようで、最後にこう付け加えていた。

「いつか何らかの形でオファーが来たら、喜んでやるつもりです。イノウエと戦うとしても、これまでと同じように攻めて、彼の顔面を狙っていきますよ」

 日本が生んだ最高のファイターである井上の行く手に、新たな選択肢が見えてくる。

 井上対ドネアが決まっているにも関わらず、先々のシナリオに思いを巡らすのを不愉快に思う人もいるかもしれないが、一戦ごとという“点”だけでなく、スター選手のキャリアを“線”として捉えられる楽しさもボクシングの魅力の1つである。そして、周辺階級の強豪から熱視線を送られる日本人ボクサーが現れたのは素晴らしいこと。井上の軌跡を楽しみにしているファンは、今後、“ライバル候補”であるナバレッテの動向にも同じように注目していくべきなのだろう。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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