「人間・萩野公介」の問われる真価 北島康介が辿った「選ばれしエースの宿命」
まだ「チーム・ジャパン」じゃない若い日本…「萩野選手は結果を出して引っ張って」
実際、萩野はリオ五輪で大会初日に400メートル個人メドレーで金メダルを獲得し、チームに流れをもたらした。
「初日にエースといわれる選手が結果を出さないと、流れが悪くなるというジンクスある。そういう意味では萩野選手も大変だと思います」
今大会は4日目の200メートル個人メドレーを皮切りに4種目にエントリー。最後に伊藤氏は若い日本代表に対する期待、そして、萩野に対する期待を口にした。
「競泳は、互いのことをよく知っているチーム。だけど、今は年齢的に若く、まだ『チーム・ジャパン』という感じじゃない。だからこそ、萩野選手には結果を出して引っ張っていってほしい。そういう責任感が出てきて、自分がどうあるべきかということを考えると、もっといい選手になれる。23歳で若い選手。まだまだ、ここからだと思います」
いち選手としてだけでなく、日本選手団のエースとして期待される萩野。果たして、23歳の「真価」は結果として、どう表れるのか。「人間、萩野公介」の挑戦が始まる。
◇伊藤 華英(いとう・はなえ)
2008年女子100m背泳ぎ日本記録を樹立し、初出場した北京五輪で8位入賞。翌年、怪我のため2009年に自由形に転向。世界選手権、アジア大会でメダルを獲得し、2012年ロンドン五輪に自由形で出場。同年10月の岐阜国体を最後に現役を退いた。引退後、ピラティスの資格取得。また、スポーツ界の環境保全を啓発・実践する「JOCオリンピック・ムーヴメントアンバサダー」としても活動中。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer