井上尚弥、出国前の言葉に透けた“日本代表”の責任 異国の大型興行がもたらす「若い世代」への影響

リヤドから東京ドームに繋がる熱狂
その責任感はメディアへの真摯な対応にも現れていた。到着セレモニー「グランドアライバル」では約70社のメディアに対し、30分近く報道陣の質問に答えた。現地メディアから、通訳を通じて「試合ではどのような『パンチスコア』を目指しますか?」と聞かれると、「スコア……。何だろう。ボクシング用語とちょっと違うから難しいな。KOラウンドってことかな」と困惑しながらも意図を汲み取ろうと寄り添う場面があった。
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海外メディアに対して、各社に誠実に受け答えをする井上。その様子を見ていた日本の報道陣に対し「(対応が)日本より丁寧って書かないで下さいよ」と冗談を飛ばして、笑いを誘った。
リング上での視線の先、観客席の最前列には世界で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」でパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が座っていた。同2位の井上は「こんなんじゃまだまだ全然及ばない。もっともっと腕を磨いて1位にふさわしい選手になりたい」と高みを見据えた。世界戦27連勝を成し遂げても歩みは止めず、新たな記録を目指す。
そしてファン待望の決戦がついにやってくる。来年5月に計画されている中谷潤人(M.T)との大一番。井上がフェザー級で5階級制覇へ早期に挑戦する可能性もあることを自ら示唆し、一時、白紙の可能性もささやかれた。サウジアラビアでの興行で、勝利を収めた両者。井上はピカソ戦を終えて、「そりゃもう、やりましょうよ」と中谷戦に向けて力を込めた。周囲をかき乱したことを詫びつつ「自分としては来年やる気はあります」と強調した。
熱狂はリヤドから東京ドームへ。ボクシング史に刻まれる決戦のカウントダウンがまもなく始まる。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
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