世界の強豪に15-19肉薄、低迷ラグビー日本代表に何が… 抗った宿命、感じた異質「ノーガードの打ち合いが…」

特筆すべき選手はHO江良、FLガンター、SH藤原
勿論、ワラビーズを3トライに抑えた防御力は、選手個々の活躍にも支えられていた。メンバーが総じて好ディフェンスを見せた中で、特筆するべきは多くの人も同感だろうがHO江良颯(S東京ベイ)だ。今季代表デビューの江良だが、開始3分に相手の5次攻撃にラックでボールに絡んで反則を奪うと、11分にはラインアウトからのファンブルボールを繋がれたシーンで、タッチ際を突破しようとした相手FWをハードタックルでタッチ外へ押し出した。後半開始直後に右足首を痛めながらプレーを続け、28分にオーストラリアのPRを仰向けに倒して、脳震盪チェックのため一時退場に追い込んだ。
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試合後は病院に直行したため残念ながら江良本人から話は聞けなかったが、この試合でのタックル回数は両チームで最多の25を数えた。この試合での負傷で残念ながら渡英は断念することになったが、江良だけに止まらずLOジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)23回、PR竹内柊平(東京SG)、No8リーチマイケル(BL東京)、そして相手をなぎ倒し続けたFLベン・ガンター(埼玉WK)がそれぞれ21回と、都合6人が20回以上のタックルを記録した。
この数字を他の試合と比較するのもあまり合理性はないが、8月のフィジー戦での最多タックル回数は同じく江良らが記録した14回。7月に行われたウェールズ第2戦ではCTB中野の17回がトップという数字を見ると、驚異的なタックル数でオーストラリアに立ち向かったことが分かる。勿論タックルの多さは「防戦一方」だったゲームとも解釈できるが、調子を上げてきた世界7位を3トライに封じたことを考えれば、その価値は評価するべきだろう。
4点差の惜敗で特筆するべき選手を挙げれば、先に触れたHO江良、そしてフィジカルバトルで今季欠かせない存在に成長したFLガンター、攻撃面ではSH藤原だろう。ワールドカップ出場経験の無い新しい世代が、チームのコアメンバーへと成長を続けている。
そして、目前に迫る南アフリカ戦は文句なしの世界最強チームとの対戦になる。4点差負けのオーストラリア以上にフィジカル、スキル、勝つためのスタイルを持った相手を、成長を見せる防御で世界7位とのゲーム同様に3トライないしロースコアに封じ込めれば上出来だ。そこに、忍耐力を持ってフェーズアタックを重ね、相手防御に破綻を生じさせることが出来れば、2015年9月19日のようなバトルが見られることになる。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)
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