「練習の気分じゃない日は休め」 世界を走った弁護士ランナー、“マラソンは人生の一部”という成功の原則【東京世界陸上】
9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第28回は「休養の必要性」。男子マラソンに出場した28歳のリアム・ボウディン(オーストラリア)は、弁護士としてフルタイム勤務する“二刀流ランナー”だ。仕事とスポーツを両立するためには、「競技から離れる時間」が必要だったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第28回
9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第28回は「休養の必要性」。男子マラソンに出場した28歳のリアム・ボウディン(オーストラリア)は、弁護士としてフルタイム勤務する“二刀流ランナー”だ。仕事とスポーツを両立するためには、「競技から離れる時間」が必要だったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
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想像を超える東京の蒸し暑さにより、棄権者が続出した男子マラソン。そんな中でも、最後まで腕を振った一人の弁護士がいた。
序盤はペースを保ったが、30キロ地点から徐々に失速。「足がガクンと疲れてしまった」と苦笑いする。それでも、最終的に57位でゴール。「完走できたことに本当に感謝しているよ」。晴れやかな表情ながら、うっすらと悔しさも滲んでいた。
普段は地元の「マホニーズ法律事務所」で法人向け弁護士としてフルタイム勤務。週4日、朝から晩まで法と向き合う日々を過ごす。「仕事とマラソンのバランスを取るのはいつも大変さ」と愚痴をこぼしつつも、どこか楽しそうに笑みを浮かべる。
そんな過酷な環境下でも、毎日のランニングは欠かさない。普段の生活に生かせる両立の“ススメ”を教えてくれた。
「ハードなトレーニングをする気分じゃない日は、楽にしたり、休んだりしていいんだ」
プロのアスリートでさえ、練習への意欲が湧かず、無気力状態に陥ることがある。そんな自分に抗い、トレーニングし続ける選手も多い。だが、ボウディンの考えは違う。「時間が経てば再び熱量は戻ってくるから」。競技から離れる時間も必要不可欠だと考えている。
ステージが上がるにつれ、競技力が高まると、結果や順位に縛られ、純粋に楽しむことは難しい。だからこそ、仕事とスポーツの切り替えが大事。気分転換を図り、正しいバランス感を保つことが必要だと説く。
「仕事中はランニングから離れるのもいい。こだわりすぎると、少し気が狂いそうになったり、怪我をしたりする。だから、人生の両方の側面を楽しむことが大切なんだ」
世界を相手にするマラソンは、あくまで人生の一部であると強調する。スポーツはあくまで楽しむもの――。“大原則”を忘れては、人生の成功は掴めないと教えてくれている。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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