[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「練習の気分じゃない日は休め」 世界を走った弁護士ランナー、“マラソンは人生の一部”という成功の原則【東京世界陸上】

9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第28回は「休養の必要性」。男子マラソンに出場した28歳のリアム・ボウディン(オーストラリア)は、弁護士としてフルタイム勤務する“二刀流ランナー”だ。仕事とスポーツを両立するためには、「競技から離れる時間」が必要だったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

世界選手権東京大会、男子マラソンを57位でゴールしたリアム・ボウディン【写真:中戸川知世】
世界選手権東京大会、男子マラソンを57位でゴールしたリアム・ボウディン【写真:中戸川知世】

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第28回

 9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第28回は「休養の必要性」。男子マラソンに出場した28歳のリアム・ボウディン(オーストラリア)は、弁護士としてフルタイム勤務する“二刀流ランナー”だ。仕事とスポーツを両立するためには、「競技から離れる時間」が必要だったという。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)

 ◇ ◇ ◇

 想像を超える東京の蒸し暑さにより、棄権者が続出した男子マラソン。そんな中でも、最後まで腕を振った一人の弁護士がいた。

 序盤はペースを保ったが、30キロ地点から徐々に失速。「足がガクンと疲れてしまった」と苦笑いする。それでも、最終的に57位でゴール。「完走できたことに本当に感謝しているよ」。晴れやかな表情ながら、うっすらと悔しさも滲んでいた。

 普段は地元の「マホニーズ法律事務所」で法人向け弁護士としてフルタイム勤務。週4日、朝から晩まで法と向き合う日々を過ごす。「仕事とマラソンのバランスを取るのはいつも大変さ」と愚痴をこぼしつつも、どこか楽しそうに笑みを浮かべる。

 そんな過酷な環境下でも、毎日のランニングは欠かさない。普段の生活に生かせる両立の“ススメ”を教えてくれた。

「ハードなトレーニングをする気分じゃない日は、楽にしたり、休んだりしていいんだ」

 プロのアスリートでさえ、練習への意欲が湧かず、無気力状態に陥ることがある。そんな自分に抗い、トレーニングし続ける選手も多い。だが、ボウディンの考えは違う。「時間が経てば再び熱量は戻ってくるから」。競技から離れる時間も必要不可欠だと考えている。

 ステージが上がるにつれ、競技力が高まると、結果や順位に縛られ、純粋に楽しむことは難しい。だからこそ、仕事とスポーツの切り替えが大事。気分転換を図り、正しいバランス感を保つことが必要だと説く。

「仕事中はランニングから離れるのもいい。こだわりすぎると、少し気が狂いそうになったり、怪我をしたりする。だから、人生の両方の側面を楽しむことが大切なんだ」

 世界を相手にするマラソンは、あくまで人生の一部であると強調する。スポーツはあくまで楽しむもの――。“大原則”を忘れては、人生の成功は掴めないと教えてくれている。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
CW-X CW-X
lawsonticket
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集