「一発屋」批判に晒され…ノーマークから東京五輪100m金メダル、訪れた不振と苦悩「過去のことばかりを…」【東京世界陸上】
陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材した「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第11回は男子100メートルに出場したマルセル・ジェイコブス(イタリア)。2021年の東京五輪で金メダルを獲得し、日本に帰ってきたオリンピックチャンピオンは、どんな4年間を過ごしてきたのか。歓喜の裏にあった苦悩、精鋭が集うスプリント種目でモチベーションを保つ秘訣を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂、戸田 湧大)

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第11回
陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材した「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第11回は男子100メートルに出場したマルセル・ジェイコブス(イタリア)。2021年の東京五輪で金メダルを獲得し、日本に帰ってきたオリンピックチャンピオンは、どんな4年間を過ごしてきたのか。歓喜の裏にあった苦悩、精鋭が集うスプリント種目でモチベーションを保つ秘訣を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂、戸田 湧大)
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東京五輪の英雄が国立競技場に戻ってきた。13日の男子100メートル予選、ジェイコブスはシーズンベスト10秒20(向かい風0.6メートル)を記録し、着順(3着)で準決勝進出。当時は無観客だったスタジアムで5万人の大観声が耳をつんざいた。
レース後にTHE ANSWERの取材に応じ「スタジアムは素晴らしいし、たくさんの思い出がある。最高の気分だよ」と感慨深げに笑顔を見せた。
自己ベストは9秒80。26歳で出場した東京五輪では、スプリント界を席巻する米国やジャマイカ勢を抑えて金メダルを獲得した。4×100メートルリレーも制して2冠を達成。“ノーマーク”だったイタリアの刺客は波乱を巻き起こし、一躍スターになった。
しかし、その後は不調にも悩まされた。22年の世界陸上オレゴン大会は準決勝を棄権、23年のブダペスト大会も決勝に進めず。24年のパリ五輪では5位止まりで、メダルには届かなかった。
最大の要因はコンディション不足。「問題は自分の身体だったんだ。毎日、何年も100%の力で頑張り続けると、体の調子が変わってしまうこともある」と理由を明かす。
100分の1秒を争うスプリント種目。一瞬の油断も許されない。30歳に近づくにつれ、肉体も変化。「本当に速い選手がたくさんいるんだ。もっと速く走れるように努力しなければならない」。陸上競技の花形種目の第一線で戦い続ける難しさを明かした。
結果が求められるスポーツの世界。不調が続く五輪王者へ「一発屋」「史上一番のまぐれ」などとSNSでは批判的な声も上がる。心が折れそうになった時、どのようにして気持ちを繋ぐのか。歓喜も、苦しみも知るスプリンターはその心得を語ってくれた。
「僕は心と身体を使って練習している。だから過去のことばかり考えたくはないんだ。ここに来たからには、速く走るだけさ」
今大会は準決勝敗退。あの時と同じ国立のファイナルに立つことはできなかった。それでもまた、スポットライトを浴びる日を信じて走り続ける。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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