「私たちは間違いなく稼げない」 陸上競技内にある経済格差、世界女王すら“副業”の投てき種目【東京世界陸上】

単独取材で明かした真意「多くの人が事情を知らない」
翌13日、予選3投目で64メートル99をマークして決勝に進出したタウサガに真意を聞いた。
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「フィールド種目の選手はトラック種目の選手より間違いなく稼げないの。フィールド種目で一番稼げるのはおそらく棒高跳び。投てきだと砲丸投げが一番かな。円盤投げだと、稼げない人はフルタイムの仕事をしなければならない」
競技内に存在する“格差”について明かした。金銭的に余裕がなければ、欧州で行われる大きな大会に遠征する費用も捻出できない。「そういった大会でこそランキングやお金を稼げるのに。多くの人がそういう事情を知らないの」とタウサガは嘆く。
「いま米国でスポンサー契約を結んでいる女子円盤投げの選手は2人だけだったと思う」。陸上大国の米国ですら厳しい現実。現在ナイキと契約を結んでいるタウサガも「どうやったらスポンサーをもらえるか、どうやったらお金を稼げるか、どうやったら生活できるか考えていた時期を今でも覚えている」と、かつては糊口をしのげるか不安に感じていたという。
一握りの選手しか出場できない世界陸上。「世界最高の選手の中にも、いま家で座っている人がいる。それはとても辛いこと。だからラモナについて話したの。あの大会を嫌っている人も多いけど、私が出場をやめることはない。私たちはパフォーマーとして正当にお金をもらう必要があるから」。米国代表チームは出来る限りのサポートをしてくれるというが、物価高もあり足りないのが現状だ。
タウサガは現在も生計を立てるためにサンディエゴの小さなカレッジでコーチをしている。「もっと高給な仕事を探しているの。アスリートとしての人生と、お金に困らないように働かなければならない生活の間で、何とか帳尻合わせしている状況ね」。2年前に世界の頂点に立った女王でさえ、華やかな生活とは言い難い。突然の熱弁には、そんな現状を変えたいという思いが込められていた。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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