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突然突き落とされた「地獄の日々」 原因不明の菊池病と闘い世界へ、福部真子の使命「私が走ることに意味がある」

原因不明の菊池病と闘いながら、東京世界陸上で雄姿を届けるつもりだ【写真:中戸川知世】
原因不明の菊池病と闘いながら、東京世界陸上で雄姿を届けるつもりだ【写真:中戸川知世】

発熱や悪寒を繰り返した約2週間「まず、普通の生活を送れるか…」

 昨年12月、原因不明の「菊池病」の発症をSNSで公表した。頸部リンパ節が腫れることで発熱する良性の病。特効薬はなく、治癒期間にも個人差があるという。福部は、直前11月上旬から発熱や悪寒、体の痛みを繰り返した約2週間を「地獄の日々」とつづっている。

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 突如、奪われたアスリートとしての日常。「まず、普通の生活を送れるかというところから始まって、3月までは体を戻すことに力を注いでいた。(世界陸上の)参加標準記録は、自己2番目のタイムだったので、去年苦労して出したタイムに近づけるのかな、自分の現在地では目指せる位置でもないのに……みたいな」。葛藤を抱えた日々を振り返る。

 今季初戦となった5月のセイコーゴールデングランプリでは13秒12(追い風0.7メートル)で7位。7月の日本選手権準決勝では12秒75(無風)を記録し、決勝では12秒93(向かい風0.4メートル)で3位となった。

 その後も参加標準記録突破を目指してレースに出場。9日のオールスターナイトでは12秒74(追い風1.1メートル)で0.01秒届かなかったが、そこからわずか1週間、再びスタートラインに立ち、意地を見せつけた。

「ここに立つまでに本当に沢山の人に支えてもらった。私が走ることに意味があるというか……。現に私は普通に走れているから、『本当に菊池病なのか』『熱が出ているのか』と思われているんじゃないかと感じている。だから普通のOLさんとかはもっと感じているんじゃないかなと思う。その人たちに向けて病気を公表したのもあるし、それが自分のやるべき仕事だと思って踏ん張れたところもある。

 菊池病の方に、もがきながらも頑張っているところが伝わったらいいし、私が世界の舞台に立つことで認知が進んで、菊池病の人が少しでも生きやすい世界になったらいいなと思う」

 9月に開催される東京世界陸上出場へ大きく前進。「自分史上、一番難しい世界陸上になると思う。ここまでその日できるベストを尽くしてきた。予選や準決勝でもベストを尽くせば、何かしらがついてくると思うので、そういう世界陸上にしていきたい」

 闘病しながらでも世界と戦える。苦しむ人たちへの希望になる。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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