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「通過点」の試合でまさかの敗北 寺地拳四朗を襲った思わぬ誤算、理想に掲げる“強いままの引退”はどうなる

ボクシングのWBA・WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦が30日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級2団体統一王者・寺地拳四朗(BMB)がWBC同級2位、WBA同級3位のリカルド・サンドバル(米国)に1-2(112-115、114-113、110-117)の判定負けで王座陥落した。「通過点」と位置づけていた試合で予期せぬ敗北。2本のベルトを手放し、3階級制覇やサウジ興行の計画も白紙になった。戦績は33歳の寺地が25勝(16KO)2敗、26歳のサンドバルが27勝(18KO)2敗。

サンドバルに判定負けを喫し、王座陥落した寺地拳四朗(左)【写真:山口比佐夫】
サンドバルに判定負けを喫し、王座陥落した寺地拳四朗(左)【写真:山口比佐夫】

寺地拳四朗VSリカルド・サンドバル

 ボクシングのWBA・WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦が30日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級2団体統一王者・寺地拳四朗(BMB)がWBC同級2位、WBA同級3位のリカルド・サンドバル(米国)に1-2(112-115、114-113、110-117)の判定負けで王座陥落した。「通過点」と位置づけていた試合で予期せぬ敗北。2本のベルトを手放し、3階級制覇やサウジ興行の計画も白紙になった。戦績は33歳の寺地が25勝(16KO)2敗、26歳のサンドバルが27勝(18KO)2敗。

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 強さの象徴だった笑顔が悔しさで濡れた。寺地は初回から左のジャブを突き刺してけん制。5回に右ストレートでダウンを奪ったが、ペースを掴み切れなかった。被弾が続き、顔を赤く染めた。12回は激しい打ち合いとなり、決着は判定に。「向こうの方が上手で崩しきることができなかった」。結果を聞く前から寺地は涙を流し、新王者は拳を掲げた。両者の予想通り、1-2の判定でサンドバルに敗れた。

 プロ11年目の夏。寺地はいつもと変わらず、ただ着実に仕上げてきた。試合前の公開練習では「試合の位置づけとかはあまり考えていない」と冷静な様子。加藤健太トレーナーも「相手によってモチベーションが左右されることはない。プロの仕事をする。そこが強みです」と太鼓判を押す。前戦は3月のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)との王座統一戦。12回TKO勝ちで激闘を制していた。「今回もしっかり勝つ」と寺地。淡々とした言葉の中には、積み上げてきた時間への自信があった。

 5月に米ロサンゼルスでトレーニングを実施。WBC&IBF世界バンタム級統一王者・中谷潤人(M.T)を始め、多くのボクサーを育てたルディ・エルナンデストレーナーの指導を受けた。これまでは相手のパンチをさばいた後、右手は耳の横まで引いていたが、顎の前に残すようにスタイルを変えた。また、足の動きに合わせて頭の位置を細かくずらすなど、ディフェンス面を強化した。

 しかし、33歳で身に着けた新スタイルは結果に繋がらなかった。「イメージしていた感じであったが、思ったよりももらった。そこまで染みついていなかったのかもしれない」と悔しそうな表情を見せた。また、父の寺地永会長は「拳四朗陣営以上に、相手が対策していた」と指摘。ジャッジ1者が110-117の判定をしたことについてにも触れ「1ラウンドから採点していたが、4ポイント勝っていると思っていた。そんなジャッジがいることも想定して戦わないとダメなんだろうね」と思わぬ誤算にわずかな怒りをにじませた。

 2017年5月にWBC世界ライトフライ級王座を獲得して以降、18戦連続で世界戦を戦い抜いた。サンドバルに敗れるまでは、現役の日本人世界王者で最年長だった。試合前には「違和感がありますよ。みんな引退していくからしょうがないですけど」と寂しそうに語り、自身については「勝っていいところで辞められたらなと思っています」と漏らしていたことがあった。

 寺地会長によると、目標としていたスーパーフライ級に階級を上げての3階級制覇と、サウジアラビアで12月に計画されている大型興行への出場は白紙に。「通過点」と位置づけしていた試合で、足をすくわれた。寺地は試合後の会見で今後について「何も考えられないです」と言葉少なに答えた。立ち止まるのか、進むのか。“強いままの引退”を理想に掲げていた寺地の熱は消えていないはずだ。

(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)

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