53失点惨敗発進、若きラグビー日本に露呈した課題「215m-364m」数値で明白 可能性を感じさせた「2」の存在
課題の一方で可能性を感じさせたのは背番号2
そのトライから9分後のアタックも彼らの本気を感じさせるものだった。JXV陣22mライン手前で、SOリヴェス・レイハナがラッシュアップしてきたJXVのSOグリーンとの1対1のシチュエーションをいとも容易くステップで抜き去り、内側をサポートしてきたSHサム・ノックにオフロードパス。ノックはタックルを受けながらも、JXV防御の圧力が弱いことを分かっていたかのように、倒された直後にボールを浮かせてFBサリバンへラストパスを繋いでいる。
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このわずか10分あまりの2トライが、このゲームで対峙した2チームの自力差を如実に物語っている。言い換えれば日本チームに決定的に足りないものを見せつけられた時間帯だった。若いJXVメンバーにとっては大きな経験となった80分間だったが、接点でのコンタクト、集散の判断と速さ、ゲーム展開と陣形を読みながらのサポートとコース取りという、ゲームを進め、守り、スコアしていくために重要な要素のエリアで格差を見せつけられた猛攻だった。エディーに「接点の勝負は完敗だった」と振ると、こんな答えが返って来た。
「100%そうですね。菅平合宿から見てきた選手たちですが、1人くらいはテストマッチで通用すると思うが、残りの選手はやはり、もっと体を作らなければならない。40分戦えたとしても、80分戦えない。それじゃ足りないですね」
若いJXVのパフォーマンス以上にファン、関係者が気を揉むのは、この結果も踏まえた上で、果たして正代表はどこまで戦えるのかだろう。再びエディーのコメントを紹介しておこう。「まずこの試合(MAB戦)と次の試合はあまり繋げて考えないようにしましょう。今回はJXVの試合で次は日本代表ですから」と前置きした上で、ウェールズ戦についての準備をこう説明している。
「やはり北半球(ヨーロッパ)のインテンシティ(強度)というところに、一部の選手はなかなか付いていけないところはあるだろうが、そこはしっかりと鍛える練習や選手のキャパシティーを上げていったりと、フィールド内でも実践的に準備してきました。そこはプライオリティー高く取り組めています。そしてディフェンスに関しては、コーチ陣が変わる中で、いま発展、強化させていっている部分です。また、ブレークダウンもキーになる。ブレークダウン、ラックでしっかりとウェールズに勝てると確信しています。ラック周辺での攻防でしっかりと勝つことで勝機が見えてくると考えています」
6月のインタビューでも、エディーがU23、JXVによるNZ学生代表(NZU)、香港代表らとの試合から接点の進化に手応えを感じていると語っている。だが、その期待感に、チーム編成は異なれどNZUや香港からは1ステージ、2ステージ上のMABに後半完敗したJXVの戦いぶりをみると、正代表の仕上がり具合がどこまで進んでいるのかと複雑な心境でウェールズ戦を待つことになる。
小倉で行われる今季初テストについては、要は接点でどこまでファイト出来るかだろう。ブレークダウンを起点に、アタック面では自分たちのテンポでボールを継続していけるかが大きなポイントだ。そのためには、個々のフィジカルはもとより、ブレークダウンの2人目、3人目のサポート選手が、宮崎でのインタビューでも指揮官自身が語ったように、いかに相手からのプレッシャーを寸断して、攻撃のギアを上げていけるかに注目したい。
大敗したMAB戦を“素材”という観点でみれば、この夏そして秋の代表戦へ向けて可能性を感じさせたのはHO江良颯(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)だろう。立ち上がりから、帝京大学、S東京ベイでも発揮してきたタックル、コンタクトプレーで何度も背番号2を目にしたが、172cm、106kgのサイズのハンデキャップを感じさせない、低く突き刺さるタックルを浴びせ続けた。
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