「毎日が最後の日と思って」 金メダル後の1年間、一度は消えた心の火…苦悩の末に見つけた1つの答え――スピードスケート・佐藤綾乃

「美帆さんと一緒に…」新たなチームで目指す3度目の五輪
練習もレースも、他の選手と同じ熱量でできないと感じるなか、明確になったのは「美帆さんと一緒にやっていきたい」という気持ちだった。そして翌23-24シーズンにナショナルチームを離れ、高木らとともにスピードスケートチーム「Team GOLD」を発足。ミラノ・コルティナ五輪に向けて新たなスタートを切った。
「美帆さんと合流してからの2シーズン、高いモチベーションと熱を持ってスケートに取り組めました。自分にとって北京後の1年は、やっぱりすごく大きかったと思います」
迎えた3度目の五輪シーズン。自分がもっと強くなるには、「やり切る力」が必要だと言う。
「強い選手というのは一つひとつのトレーニングにおいて、数値、スケーティングの形、見た目においても、ゴールをきちんと決めて高いモチベーションでやり切ります。どんなハードな、そしてイージーな練習であってもです。五輪でも世界選手権でも、大事な試合で力を発揮するのは、やり切る力のある選手に限られている。レースではそれが露骨に表れます」

そして、もう一つ挙げたのは『闘争心』。
「昔はもっと『勝ちたい』という貪欲さがあったと感じています。これは、私をよく知る人にも指摘されることの一つです。毎日が最後の日と思って過ごしていかないと、五輪ではなかなか戦えません。今シーズンは本当に後悔をしたくない。すべてがいつ終わるか分からないという熱を持ち、日々スケートに取り組んでいきたい」
今季、女子チームパシュート日本代表は高木、佐藤そして北京五輪後に加わった堀川桃香(富士急行)のチームで世界に臨む。堀川を引っ張る先輩として、高木を支える長年のメイトとして――。佐藤はこれまでと違ったポジションでスタートを切る。
■佐藤 綾乃 / Ayano Sato
1996年12月10日生まれ、北海道厚岸郡厚岸町出身。ANA所属。小学1年生からスケートを始め、中学と高校では女子1500メートルと3000メートルで日本一に輝く。高崎健康福祉大に進学後、日本代表の女子団体追い抜き(チームパシュート)で頭角を現し、高木菜那、高木美帆と挑んだ18年平昌五輪で、冬季五輪日本人女子史上最年少(21歳73日)の金メダリストとなった。同じメンバーで22年北京五輪にも出場し銀メダル。今年3月の世界距離別選手権は高木美帆、堀川桃香と組んで2位となり、来年2月のミラノ・コルティナ五輪での金メダル獲得を目指している。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
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