【高校野球】横浜高を倒した県立高校生のいま 日産自動車・石毛大地が再び狙う下剋上、最後の夏に学んだ鉄則「キレイに勝つより…」
2019年の夏、高校野球では全国有数の激戦区・神奈川で、歴史に残る“下剋上”が起きた。偏差値67の県立進学校・相模原が、甲子園常連校の横浜を倒したのだ。当時の相模原ナインで、今も野球を続ける選手はただ一人。今季から16年ぶりに復活した日産自動車の野球部で、主将となった石毛大地外野手だ。忘れられない夏の思い出と、再び強敵に勝つために必要なことを聞いた。

忘れられないハマスタの空気「地響きがしているんじゃないかと…」
2019年の夏、高校野球では全国有数の激戦区・神奈川で、歴史に残る“下剋上”が起きた。偏差値67の県立進学校・相模原が、甲子園常連校の横浜を倒したのだ。当時の相模原ナインで、今も野球を続ける選手はただ一人。今季から16年ぶりに復活した日産自動車の野球部で、主将となった石毛大地外野手だ。忘れられない夏の思い出と、再び強敵に勝つために必要なことを聞いた。
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6年前の夏は、今でもはっきり思い出せる。7月25日の横浜スタジアム、相模原は8-6とリードして9回の守りを迎えた。2死から、横浜の最後の打者は遊飛で試合終了。その瞬間、感じたことのなかった空気の震えが、あらゆる感覚を通じて身体中に染み込んできた。
「歓声というか、地響きがしているんじゃないかというくらい音がすごくて……。スタンドがオレンジに染まったゲームセットの瞬間を一番覚えていますね。一生忘れないと思います」
高校最後の夏にこんな経験が待っているとは、とても想像できなかった。「個人個人のポテンシャルは全然高くなかったと思うんです。体も小さいですし」と石毛。今年1月に亡くなった故・佐相眞澄監督には下級生の頃から「お前たちの代は弱すぎる」と叱咤され、必死に練習し食らいついていった。上級生になり、2年生の秋は1回戦、3年生の春は3回戦負け。ただ迎えた夏は、打ち負けないチームに成長している実感があった。さらに、結束力を高めるできごともあった。
「大会の前に、3年生だけのミーティングがあったんです。メンバー外になった選手が一人一人、チームへの思いを話したんですが、みんな涙ですよ。それが良かった気がします。『やらないと』と火が付いた。束になった感じがありました」
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