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気温52度、死者も出た世界一過酷なマラソンで250km走破 元保育士女性、忘年会翌日に「私、サハラ砂漠マラソン走ります」

世界の過酷なマラソンレースに挑み続ける異色のプロランナーがいる。尾藤朋美さん、34歳。その脚ひとつで人生を切り開いてきたキャリアに迫る。全3回の第1回は「マラソン挑戦のキッカケ」。(取材・文=佐藤 俊)

世界の過酷なマラソンレースに挑むプロランナー・尾藤朋美さんの異色キャリアに迫る【写真:本人提供】
世界の過酷なマラソンレースに挑むプロランナー・尾藤朋美さんの異色キャリアに迫る【写真:本人提供】

世界の過酷なマラソンレースに挑むプロランナー・尾藤朋美さんの異色キャリア第1回

 世界の過酷なマラソンレースに挑み続ける異色のプロランナーがいる。尾藤朋美さん、34歳。その脚ひとつで人生を切り開いてきたキャリアに迫る。全3回の第1回は「マラソン挑戦のキッカケ」。(取材・文=佐藤 俊)

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 1月の「World Marathon Challenge」(7大陸マラソン)で準優勝した尾藤朋美さん。21年に世界で最も過酷と言われるサハラ砂漠マラソン250キロに挑戦し、3位に入賞。その後、モンゴルで1週間180キロを走破する「Mongolian Trail Run 2023」で優勝するなど世界の厳しいステージレースに参加し、結果を出してきた。もともと保育士だったが数々のレースに参加し、1週間、毎日、フルマラソンを走る7大陸マラソンを始め、過酷なステージレースに臨むのは、なぜなのだろうか。

 世界に出るキッカケになったのは、2018年の忘年会である人との出会いだった。

「その場で『この人はサハラ砂漠250キロを走ったんだよ』と紹介されたのが矢原里香さんというタレントさんでした。それって何?と思って、忘年会の間、里香さんにずっと話を聴いていたんです。そんなレースがあるんだって思いましたし、すごく面白いそうで、次の日にはSNSで『私、サハラ砂漠マラソン走ります』って宣言したんです」

 尾藤さんは、大学を卒業後、保育士を4年務め、友人の紹介でトレーニングを始めるとその楽しさにハマり、退職。大好きな藤森慎吾さんがマラソンでサブ4を達成して「すごい」とネットニュースに流れると自ら挑戦し、2018年にサブ4を達成した。

 それをSNSに上げたが、まったく注目されず、芸能人だからサブ4で注目されるんだと理解し、さらに上のレベルであるサブ3を目指し21年の3月の名古屋ウィメンズでその目標を達成した。トレイルランニングにも挑戦し、最初のレースではウエストポーチにペットボトル1本だけ持って走ろうとした。リュックを背負って装備した人たちに「こいつヤバそう」という目で見られたが、それでも年代別3位になり、つづく陣馬山トレイルレースでは女子2位になった。山でも走れる自信がつき、何か刺激的なレースはないかと探していたところ、サハラ砂漠マラソンの話を聞き、やる気になった。

「いろいろ聞いていくうちにエントリー費が50万円ぐらいすると聞いて、えーって思いました(苦笑)。それでも出ると決め、ウルトラマラソン(100キロ)に出たり、富士五湖ウルトラマラソン(118キロ)で優勝したり、準備をしていました。SNSやメディアに注目されるには、サハラに挑戦して世界一になるしかないって思ったんです」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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