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元五輪ランナーが日本の子供の足を速くする スプリント指導のプロ集団「0.01」とは

全国平均を3~4か月でクリア…“即効性”のある指導に実績

「例えば、僕があるクラスで指導したケースでは、50~60人程度の参加で個別のアドバイスはできない状況ですが、3か月で9回練習をして、平均0.43秒速くなった。また、15人程度であれば4か月14回の練習で0.79秒の短縮というクラスもある(過去3年間の平均データ)。全国平均は1年間で0.5秒前後ですが、それを3~4か月でクリアしている。確実に技術が変わって速くなったことが言えるはずです」

 こうした実績を元に“即効性”のある指導を行っていく。しかし、将来の五輪アスリートを対象にするかといえば、必ずしもそうではない。野球、サッカーなど、ほかの競技に取り組むスポーツ少年、運動会で少しでも順位を上げたいという“苦手層”の子供まで分け隔てなく、足を速くすることにこだわる。

「走りを良くして、技術を改善することだけにフォーカスしている。その中から陸上をやりたいと思う人がいれば、陸上クラブに入ってくれればいいと思う。サッカーや野球をやっている子は、そのスポーツで生かしてくれたらいい。その後の目標設定は個別でしてくれて構わないと思っています」

 一方で、大人の指導についても同様の問題があるという。元マラソン選手の長距離ランナーが開催するクリニックも一緒に走ることがメインという場合がほとんど。イベント参加者から「何かが変わった実感がない」という声を伊藤氏も耳にしたという。

「長距離界のアプローチは、距離を多く走って心肺能力を高めるというような生理学で攻める。バイオメカニクス的な動作をどう変えて、どう効率化させるかという部分はほとんどやらないんです」

 現状の問題に共通しているのは、指導する側が評価をされないというシステムの問題点だ。

「そういう現場では、本当に速くしたのかというジャッジを受けないことが多い。質にこだわって、確実にこれをやると良くなるという練習を提供するインセンティブが働かない。これには指導者側の意識の低さや知識不足はもちろん、労働環境も大きく影響していると考えています」

 だからこそ「0.01」においては、最新のデータや論文と照らし合わせながら、指導の成果を評価すること、指導者が質に見合う対価を得られることを目指していくという。

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