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「神様、あれはなんだったの?」 ラモスとW杯予選、終わりなき“ドーハの悲劇”

露骨に不利な判定を繰り返されたイラク…ラモスに芽生えた確信

 幸いだったのは、日本がイラクと対戦するのが最終戦だったことだ。開幕からサウジアラビア、イラン、北朝鮮と続くので「3連勝して(第4戦の)韓国に分けても、そこで決められる。たとえイラクには負けても大丈夫だ」とラモスは考えた。

 しかし、前年アジアカップ決勝の再戦となった初戦のサウジアラビアとの試合はスコアレスドロー。さらに出場停止処分で主力3人を欠いたイランには、1-2で敗れてしまった。

 後がなくなった日本は、ラモスをトップ下に配し、反撃に転じる。

「来たな! そう思った。俺に任せてくれればやってやる」

 ラモスを攻撃の起点とした日本は、北朝鮮(3-0)、韓国(1-0)を連破して息を吹き返す。4試合を終えた時点で首位に浮上し、あとは最終戦でイラクに勝てば、2位以上に与えられるW杯出場権を獲得できる状況になった。

 この予選で、イラクは露骨に不利な判定を繰り返されていた。W杯開催国はアメリカ。91年1月から2月に起きた湾岸戦争の当事国を迎え入れるわけにいかない――。

 だから1-1で迎えたイラク戦の後半に日本が奪った勝ち越しゴールも、ラモスには確信があった。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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