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陸上競技こそ「本当の人類最強と…」 YouTube、Netflix…コンテンツ過多の時代に考えるスポーツを観る面白さ――陸上・田中希実

田中は陸上を「本当の人類最強」を争う競技と考える【写真:落合直哉】
田中は陸上を「本当の人類最強」を争う競技と考える【写真:落合直哉】

誰でも経験のある「走る」で争う競技「誰にでも可能性がある中から生き残った人たち」

 スポーツ自体にも、さまざまな形態がある。野球やサッカーなど団体で得点を競うものもあれば、水泳のように道具を使わず個人でタイムを競う、あるいは体操やフィギュアスケートのように採点で競うものもある。さらに野球とサッカーも、細分化すれば、選手と選手がぶつかる接触型と非接触型のスポーツに分かれる。

 陸上は基本的に走る、跳ぶ、投げるという3つの動作で競う個人競技。

「球技で点を取るチームスポーツなら、それぞれのポジションがあり、役割をもってプレーすることが多い。陸上は1500メートルという種目に出るとしたら、ポジション関係なく全員同列で、そこで個性を発揮していく。みんな個性が立っているし、その選手がどんな想いで取り組んできたか想像しやすいところはあると思います」

 他にも競走系の競技はあるが、体ひとつで勝負する部分は一緒でも、水泳やフィギュアスケートのように地域差や経済力に左右されにくいこともある。

「陸上は貧しい国でも体ひとつでやろうと思えばできる。特に走ることはやりやすい。どのスポーツよりも層が厚いんじゃないか。さらに人間の可能性で考えたときに、走るという行為は、生まれつきに不自由な部分がなければ、誰もが絶対にしたことがある経験なので、“誰にでも可能性がある中から生き残った人たち”と考えると、本当の人類最強と言うことができる。そこがすごくわかりやすいし、陸上が面白い理由なんじゃないかと思います」

 こう聞いていると、人類最強を争う競技で世界に挑戦し続ける田中は、とんでもない超人に思えるかもしれない。

 しかし、面白いのは陸上以外のスポーツは得意ではなく、小学生時代、むしろ体育は苦手だったこと。「ドッジボールは結構苦手で、なぜか避けるのはマシ。でも、キャッチや投げることはできない。だから、当てられちゃって外野に出たら(投げて)当てられないので、(内野に)永遠に戻れない。避けるしかない」と悲しそうに回想する。

 そんな体育嫌いの少女が陸上で日本No.1になって五輪で戦うのは、ひとつのストーリーであり、陸上の魅力でもある。

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