「たぶん天国から怒られる」 恩人の訃報翌日に練習、那須川天心に芽生えた世界挑戦への野心
ボクシングのWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王者・那須川天心(帝拳)が24日、東京・有明アリーナで119ポンド(約53.98キロ)契約ノンタイトル10回戦に臨み、前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に3-0で判定勝ち(97-93×2、98-92)した。ボクサー転向6戦目で過去最強の相手を撃破。今秋以降に想定する世界初挑戦に弾みをつけた。その世界王座獲りを願っていた99歳のジムマネージャーが1月に死去。新たな心境が芽生え、群雄割拠の階級で戦っていく。戦績は26歳の那須川が6勝(2KO)、34歳のモロニーが27勝(19KO)4敗。

那須川天心VSモロニー
ボクシングのWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王者・那須川天心(帝拳)が24日、東京・有明アリーナで119ポンド(約53.98キロ)契約ノンタイトル10回戦に臨み、前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に3-0で判定勝ち(97-93×2、98-92)した。ボクサー転向6戦目で過去最強の相手を撃破。今秋以降に想定する世界初挑戦に弾みをつけた。その世界王座獲りを願っていた99歳のジムマネージャーが1月に死去。新たな心境が芽生え、群雄割拠の階級で戦っていく。戦績は26歳の那須川が6勝(2KO)、34歳のモロニーが27勝(19KO)4敗。
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1月1日、帝拳ジムの長野ハル・マネージャーが亡くなった。99歳。昨年まで名門を75年以上にわたって支えてきた。厳しさで知られたが、那須川にとっては違う。「ずっとニコニコとお話をしていたイメージ」。粗削りだったボクシングも、自由奔放な発言も、ひ孫ほどの年の差があれば可愛いもの。受け取った言葉の一つひとつが胸に残っている。
「めちゃくちゃアドバイスもしてくれたし、ずっと気にかけてくれていた。僕は腑に落ちたことしか言われていない。前の手(右手)の使い方、ステップとか。特に前の手は『いろんな種類を使いなさい』と常に言われていた」
訃報が届いた翌日も練習した。「どんよりした雰囲気を出したら、たぶん上(天国)から怒られると思う。関係なく前に進まないと」。顔を合わせるたびに言われたことがある。
「あなたはいつもニコニコしているわね。ずっとそのままでいなさいよ」
秋以降に見据える世界初挑戦。転向当初から「強くなること」に焦点を当て、称号や名声にはそそられなかった。しかし、世界王者になることを期待してくれた恩人が旅立ち、心境に変化が生まれた。
「正直、僕はベルトにあまり興味がなかったけど、獲る理由が増えた。必ず獲りたい」
ジム中央の大黒柱には遺影が飾られた。「ずっと見てくれている」。神童の世界戦ロードは加速していく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)