「長谷部誠を凌ぐ天才」の今 “突き抜ける個”が育つサッカースクールで挑む「世界」
早くも芽吹き始めた成果「平均値じゃない、突き抜ける人間を目指して」
「日本はいい選手は生まれても、メンタルの問題にぶつかる。世界の選手はそのまま成長して活躍するけど、日本はどこかで抑え込まれてしまう。僕自身もそうだった。そのメンタルを教えられる指導者が少ない。尊敬できる人にアドバイスを受ければ、選手も反発しない。海外はジダンが指導者にいて、彼が子供に言えば反抗する選手はいない。でも、日本は『何だよ』と思ってしまうフシがある。生意気でもいいから、そういう才能の持ち主をまっすぐ上に導いていける指導をしたいと自分は強く思っています」
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馬場さん自身、足りなかったことの一つが「聞く耳がなかったこと」という。幼い頃は才能があるあまり、自信が過信につながり、指導者を信頼する目がなかったとコーチに言われた。ただ、それは図抜けた才能を育てる上で避けて通れない課題だ。
「自分の芯と聞く耳を持ってもらうこと。そのためにまずは尊敬される指導者になる。そうなれば、子供たちもしっかりと僕の言葉を聞いてくれる。34歳でまだ動けるから、一つ一つのボールキック、タッチを目の前でしっかり見てもらう。ただボールを蹴るんじゃなく、その前にどこを見て、グラウンド状況はどう……と他の指導者に教えられない感覚がトップ選手上がりには絶対ある。だから、体が持つ限り現場に出てしっかりやりたいと思っています」
選手の名前を看板に謳っているスクールはあれど、実際に直接指導するものは少ない。だからこそ、現在は月火は福岡、木金は東京と毎週往復し、グラウンドに立つ。体型は現役時代と変わらない。持ち前の明るさで子供のやる気をくすぐり、一つ一つのプレーをお手本として実践。すると、子供の目の色は変わる。“尊敬される指導者”を貫いている。
自身をステップアップさせることにも余念がない。JFAのA級ライセンスを受験し、38歳までにS級ライセンス取得を目指している。それが史上最年少のS級取得になると聞いたからだ。スクールでは海外に興味があれば、現役時代に培った豊富な人脈を駆使し、実際に研修の受け入れ先の斡旋。スクールの評判と噂を聞きつけ、他の名門スクールから“移籍”する子供が出始めた。
熱い情熱を込めた指導の成果は早くも芽吹き始めている。
「僕のスクールに入って、必ずしもサッカー選手になれとは言わない。でも、やるのであれば、他の人にはない何かを身につけ、平均値じゃない、突き抜ける人間を目指してほしい。周りの意見に左右されず、芯の通った人間に。自分は性格的にやんちゃだったけど、やんちゃで良かったと思う。そんな自分をサポートしてくれていた両親には感謝しかないです。親のサポートがあったからこそ、サッカーを真剣に取り組むことができていたので。だから、今、僕は福岡から世界に羽ばたいて、日の丸を背負うような子供が出てくるようなスクールにしたいです」
かつて失敗を経験し、自分の弱さを知るからこそ、花開かせられる才能がある。華麗なプレーでピッチを沸かせた男は“馬場憂太にしかできないサッカースクール”で、福岡から世界に挑もうとしている。
(THE ANSWER編集部)