井上尚弥のボクシングを脳裏に刻め 来年国内興行は不透明…別れの決戦で「醍醐味を見せたい」
10年間無敗で世界王座を保持「大変だと思って過ごしてきたことはない」
今回は対グッドマンを想定し、アマチュアでパリ五輪代表・原田周大と計20ラウンドのスパーリングを実施。「接近戦でも、グッドマンの土俵でも戦える準備をしている」とハイテンポのボクシングでスピードに磨きをかけた。この日はシャドーとサンドバッグ打ちを2回ずつ披露。素早いフットワークを使いながら、キレのある動きで順調ぶりをアピールした。
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7年ぶりの年間3試合。24歳だった2017年は、スーパーフライ級で対戦相手がいなくなるほど無双していた。「あの時の意識、ボクシングとの向き合い方が変わっている」。2階級上げてパワー、スピード、経験値も格段に上がった。日々の意識で体づくり、栄養の知識も変化。「コンディション、体調、モチベーションを含め、切らさずできた良い年だった」と総括する。
大橋会長は「米国、サウジアラビアからオファーがあるのは光栄なこと。それ(海外2連戦)が終わればみんなが望む国内での大きな試合です」とWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)とのビッグマッチを示唆しつつ、「海外で3試合をするかもしれない」と不透明な状況に念を押した。
勝てば現役世界最多の世界戦通算24勝(歴代9位)になる一戦。返上した時期を除き、井上は10年間無敗で世界王座を保持し続けてきた。その難しさを問われると、井上らしい答えが返ってきた。
「この10年、王座を守り続けることに対して自分は大変だとか、そういう想いをもって過ごしてきたことはない。ボクシングが好きで、強くなりたくて、強い奴と戦いたくてやってきた結果。この先もボクシングをやる以上、その気持ちは変わらない。
3年前でも今の自分がここにいると想像できていなかった。この先も想像できない。一つひとつ結果を出した先に納得、満足する場所にいられたら。皆さんの期待を超える試合を目指しているので、そこに期待していただきたい」
期待を超える試合を期待させ、その期待をまた超えていく。やっぱり次元が違う。
○…セミファイナルでは、同門のWBO世界バンタム級王者・武居由樹が同級10位ユッタポン・トンデイ(タイ)と2度目の防衛戦を行う。5月の東京D興行でジェイソン・マロニー(豪州)から王座奪取し、9月の比嘉大吾(志成)戦で初防衛に成功。戦績は28歳の武居が10勝(8KO)、31歳のユッタポンが15勝(9KO)。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)