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「日本を追い越した国に共通する特徴が」 世界に新たな強化の潮流、指揮官の構想には「大学世代の活用」――エディー・ジョーンズ独占インタビュー

指揮官の構想は「大学世代を活用すること」 具体的なプランも提示

 各世代の強化を考えると、強豪国はU18(高校代表)、毎年世界大会が開催されるU20で評価を得た選手が、翌シーズンにはプロリーグ、もしくは代表入りを果たしている。一方で日本の状況を考えると、有望選手の多くは大学チームでの4年間を終えて、リーグワンなどの社会人チームに入り、個人差はあるが、そこでの活躍を認められてから代表合宿に呼ばれている。今年の1月に就任したエディーは、現在行われている宮崎合宿にFB矢崎由高(早稲田大2年)を呼び、練習生として海老澤琥珀(明治大2年)らも招聘して、学生世代の有望選手に代表レベルで経験を積ませようとしている。日本の選手育成システムの中では“飛び級”のような取り組みをしているわけだが、大学世代、とりわけU20を卒業した3年、4年生と卒業1、2年目という年代の組織立った強化・育成には至っていない。過去のコラムでも指摘したが、日本の選手強化には21歳から24歳前後までの世代が“ミッシングリンク”となっている。

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 このようなミッシングリンクを含む日本の強化環境について、「私見」という範疇での話になるが、エディーはこのような現状と可能性を語っている。

「私の任期(2027年まで)中には達成出来ないかも知れないが、やはり再びスーパーラグビーのチームを持つことは1つのオプションだと思います。私が就任している間に出来る事では、大学世代を活用することでしょうか。大学のシーズンは1月で終わり、2月から6月はS&C(ストレングス&コンディショニング=パワー、筋力等体力向上メニュー)などに取り組んでいて、あまりラグビー自体をやっていない時間があります。その期間に、大学生だけでジャパンXVのようなチームを編成してツアーを行うなど、高いレベルのラグビーを経験させ、成長を促していくことを検討していきたい。そうすることで、大学世代の選手の、高いレベルの練習をしなくてはいけないんだという理解に繋げたり、トップレベルのラグビーはこういうものだということを経験させることは重要です。そういうところから着手するのは、任期であるこの先3年くらいでは出来るのかなと思います」

 強化については、アイデアマンでもあるエディーの提言に早くも日本協会が振り回され、腐心しているような状況だという話も聞こえてくる。2015年以前に比べれば、飛躍的に向上する協会の収益、予算だが、現状の代表強化に伴う経費を踏まえれば、セカンドチームなどに投資できる予算は潤沢とは言えないのが実情だ。来年W杯に挑む女子15人制、男女7人制などに加えて、さらにユース世代のチームへの投資も求められている。どこで“折り合い”をつけ、その中で強化を進めることは綱渡りのような側面もあるのは間違いないが、世界の強化の流れをみれば停滞は後退だ。全てに応えることは出来なくても、エディーの思い描く強化を、加速度をもってどう進めていくかが喫緊の課題なのは間違いない。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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