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「自分に勝つって気持ちいい」 サボり癖、体重超過、金のため…ボクサー比嘉大吾が再び宿した炎

試合後に傷だらけの顔で会見した比嘉【写真:中戸川知世】
試合後に傷だらけの顔で会見した比嘉【写真:中戸川知世】

「もう一回やろうと思ったのはお金のため。でも、気づいたのは…」

 血の滲んだ顔で漏らした感情は一つ。

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「やり切った、それだけです」

 歩みを振り返る声は、清々しさすら漂わせた。

「野木さんと18歳から一緒にやってきて、楽しい10年間でした。感謝しています。復帰してからは、どこかやる気があったりなかったり。勝って、負けて、ちょっと勝ち進んでも、またやる気があったりなかったり。それをみんなも気づいていたと思う。それでも見捨てず、世界戦まで組んでくれた。

 一度失敗して、本当に辞めようと思った。正直な話、もう一回やろうと思ったのはお金のため。他にやることもないし。でも、今日気づいたのは、自分のことを思って、無償でやってくれる人たちがいるということ。世界戦を組んでくれたり、トレーナーをしてくれたり。気づくのが遅いけど、それを感じられた。

 だから、喜ばせたかった。正直、最初はお金のためだったけど、その気持ちがあったから頑張ってこられた。何もなかった自分が東京でチャンピオンになって、そこから失敗して、またこんなに応援してもらえる。最高ですね」

 見捨てなかった野木トレーナーの言葉には愛があった。

「ご縁で高校生だった大吾と出会うことができた。ここにいる皆さん(報道陣)も、この人間を嫌いだと言う人って少ないと思います。僕にとっても同じです。

 選手が強くなる大きな要因の一つは指導者に好かれること。指導者に嫌われて強くなる選手はなかなか珍しい。人を好きにさせることができる。好きな人間であれば『あれもこれもやってやろう』というのが余計に芽生えるんです。そうやっていくうちに、そういうものを超えてきた。親が子にするような、そんな感覚に近かった」

 実は、なんくるないさーには本来の意味がある。「苦しくても挫けず真面目に努力すれば、いつか良い日が来る」。比嘉は心の底から言い切った。「悔いはない」。身も、心も燃やし尽くした3か月は無駄にはならない。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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