[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「自分に勝つって気持ちいい」 サボり癖、体重超過、金のため…ボクサー比嘉大吾が再び宿した炎

試合後に傷だらけの顔で会見した比嘉【写真:中戸川知世】
試合後に傷だらけの顔で会見した比嘉【写真:中戸川知世】

「もう一回やろうと思ったのはお金のため。でも、気づいたのは…」

 血の滲んだ顔で漏らした感情は一つ。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「やり切った、それだけです」

 歩みを振り返る声は、清々しさすら漂わせた。

「野木さんと18歳から一緒にやってきて、楽しい10年間でした。感謝しています。復帰してからは、どこかやる気があったりなかったり。勝って、負けて、ちょっと勝ち進んでも、またやる気があったりなかったり。それをみんなも気づいていたと思う。それでも見捨てず、世界戦まで組んでくれた。

 一度失敗して、本当に辞めようと思った。正直な話、もう一回やろうと思ったのはお金のため。他にやることもないし。でも、今日気づいたのは、自分のことを思って、無償でやってくれる人たちがいるということ。世界戦を組んでくれたり、トレーナーをしてくれたり。気づくのが遅いけど、それを感じられた。

 だから、喜ばせたかった。正直、最初はお金のためだったけど、その気持ちがあったから頑張ってこられた。何もなかった自分が東京でチャンピオンになって、そこから失敗して、またこんなに応援してもらえる。最高ですね」

 見捨てなかった野木トレーナーの言葉には愛があった。

「ご縁で高校生だった大吾と出会うことができた。ここにいる皆さん(報道陣)も、この人間を嫌いだと言う人って少ないと思います。僕にとっても同じです。

 選手が強くなる大きな要因の一つは指導者に好かれること。指導者に嫌われて強くなる選手はなかなか珍しい。人を好きにさせることができる。好きな人間であれば『あれもこれもやってやろう』というのが余計に芽生えるんです。そうやっていくうちに、そういうものを超えてきた。親が子にするような、そんな感覚に近かった」

 実は、なんくるないさーには本来の意味がある。「苦しくても挫けず真面目に努力すれば、いつか良い日が来る」。比嘉は心の底から言い切った。「悔いはない」。身も、心も燃やし尽くした3か月は無駄にはならない。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集