プロを「クビになった僕」が“優勝請負人”に 元オリ武田健吾、30歳の今も社会人野球で続く進化
社会人野球の頂点を決める都市対抗野球は7月30日、東京ドームで決勝戦を行い、三菱重工East(横浜市)が初優勝を飾った。このチームの「5番・中堅」として、日本一に大きく貢献したのが武田健吾外野手だ。元々は、オリックスと中日で計9年間プレーしたプロ野球選手。それが社会人野球の世界に来て3年目で、念願のタイトルをつかんだ。本人の言葉を借りれば「クビになった僕」はなぜ、今もうまくなり続けることができているのか。30歳を迎えた武田に、変身の秘密を聞いた。
社会人入り3年目、ついに味わった歓喜に号泣
社会人野球の頂点を決める都市対抗野球は7月30日、東京ドームで決勝戦を行い、三菱重工East(横浜市)が初優勝を飾った。このチームの「5番・中堅」として、日本一に大きく貢献したのが武田健吾外野手だ。元々は、オリックスと中日で計9年間プレーしたプロ野球選手。それが社会人野球の世界に来て3年目で、念願のタイトルをつかんだ。本人の言葉を借りれば「クビになった僕」はなぜ、今もうまくなり続けることができているのか。30歳を迎えた武田に、変身の秘密を聞いた。
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JR東日本東北(仙台市)との決勝戦、9回2死から最後の打球は、中堅を守る武田に向かって飛んできた。フライを大事につかむと、大きく両手を上げてガッツポーズ。マウンドにチームメートが集まる中、外野手は武田のもとに3人が集合。人知れず喜びをかみしめた。
「守っていて、最後飛んできそうだなというのはあったんです。去年はベスト8で終わった悔しさと、チームで全員野球を掲げる中で副キャプテンにしてもらったのもあったので、感情が出てしまって……」。整列に戻り、ウイニングボールを佐伯功監督に渡すまで、涙があふれ顔はぐちゃぐちゃ。それほど願い続けた勝利だった。
武田個人にとっては2回目の頂点だ。前回は中日を自由契約になり、三菱East入りした2022年。チームは予選で敗れたものの、同じ地区から選手を補強できる大会独特の制度で強豪ENEOSに加わり、頂点に立った。「あの時はみんなについていった感じで。プレッシャーをかけながらも楽しんでましたね」。社会人野球に飛び込み、いきなりの優勝はもちろんうれしかった。プレーの上でも大きなヒントを得た。一方で、自分のチームで勝ちたいという思いがより強くなった。
「クビになった僕を拾っていただいたので……。一番はまた野球ができるんだという思いでしたから。都市対抗で恩返しするしかないと思っていました」