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第2次エディージャパン5試合の検証 若手起用も宿題山積み…対戦国の弁から透けた超速ラグビーの課題

日本ラグビーへの示唆に富んだイタリア主将のコメント

 選手の多くは勝てない現実を深刻に受け止める一方で、松田の言葉からもわかるように、熟成まで時間がかかるという現実も認識している。松田同様に帝京大、埼玉WKと常勝軍団でハイレベルな試合を何度も経験してきた坂手も、ここからのチームの取り組みに意識を切り替えている。

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「次のPNCでは、もっと自分たちのやりたいことを明確にして、超速の中にもっとディテールを持って、自分たちがどういうアタックすればチームが上手く回るのか、トライを獲り切れるのかとうところにフォーカスしながらやっていきたいと思います。いままでの4試合は、スタートは良かった。でも今日の試合はスタートで、出鼻をくじかれています。自分たちのゲームプランを完全に潰されてしまった。そうさせないためにどうしていくかをフォーカスしてやりたい」

 代表系のチームで初めてマオリ・オールブラックスを倒した同カード第2戦で、チームは前週の試合までから大幅な修正を見せた。この勝利が、第1次エディー体制のウェールズ戦勝利のようにチームの転換点になると期待したが、その後はジョージア、イタリアと勝利を積み上げられなかった。坂手は「相手もディフェンス(システム)も違うので、いい試合を1つしたから、そのまま出来るかというと別のものになる。それを一貫性を持って出来るようになれば自分たちのほうに流れが来るかなと思いますけれど、そこでトライ取れないと相手が勢いを持ってしまう。イタリア戦ではそこの難しさを感じました」と、テストマッチレベルの試合の厳しさを指摘している。

 そして、快勝で日本をねじ伏せたイタリアのラマロ主将の、日本代表のプレースタイルに対する捉え方も示唆に富んだものだった。

「いまのラグビーというのは、エンタメの要素がないといけないと考えていますが、やはりバランスが大切です。例えば過去2回のワールドカップをみても、攻撃は正しいタイミングで、正しいプレーをしないといけない。闇雲に攻めても、ボールを失い、そこから修復が効かないような結果になってしまいます。そこで日本ですが、彼らがゲームをコントロールしているとき、良い状態の時はとても危険です。ですから、強みを生かしていくことができれば非常に大きな可能性あると思います。スピードのあるラグビーについては、自分たちもここ2年間いろいろなことを全部やろうと試みてきたが、速さが裏目に出ることがあった。強豪相手には、しっかりとどこを攻撃の起点にするのか、どういう風にプレーするのかを判断していく必要はある。ただ、日本が目指すような速いラグビーを本当に出来るようになれば、見ていてすごく楽しいですし、どんなチームにも勝てるのではないでしょうか」

 イタリア代表自体も、スクラムとタックルが信条のマッチョなラグビーから、いまではボールを華麗に展開してスピードで勝負するスタイルに転じて、昨季6か国対抗でも2勝1分け2敗という過去にない好成績を残した。闘将からみた日本の今の姿は、闇雲にスピードで勝負して、ミスから一気にピンチを招くハイリスク・ノーリターンなチームに見えているのかも知れない。

 ラマロ主将が指摘するように、この試合では日本の不用意なプレー選択が致命傷に繋がる局面が多かった。ゲームの主導権を握るためには重要な先制点は、前半3分のイタリアのPGによるものだったが、この失点は若手注目株のFB矢崎由高(早稲田大2年)のキックカウンターを、いとも容易くイタリア防御にジャッカルされたPKから奪われている。その後3連続トライを奪われた着火点としても、戦略上では日本にとって致命的な失点でもあった。

 矢崎が可能性に満ちた逸材であるのは間違いない。エディーがジャパンXV戦も含めて全5試合で先発起用したのも異論はない。実際にこの試合の日本側データでも、2度の独走トライをみせたCTBディラン・ライリー(埼玉WK)に次ぐ走行距離(70m)、攻撃回数(15)を記録している。だが、ピッチ上でのプレーのクオリティーを見れば、まだまだ思い切りの良さだけでプレーしている印象がある。今回のように、自分で攻め込んで簡単に攻撃権を奪われるシーンは、マオリ・オールブラックス第1戦などでも見受けられたミスだが、ボールをどうリサイクルできるかという課題は残されたままだ。

 代表歴の浅い選手をW杯経験者の中に混ぜ込んだ布陣で戦ってきた第2次エディージャパンだが、先に指摘した「戸惑い」や、若い選手が多いからこそ必要な、ゲームをオーガナイズする役割をベテランのリーダーに託すのも1つのやり方だ。総括会見では、エディーにこんな質問をしてみた。

「こういう若い選手をオーガナイズするときに、たとえば田村優(横浜キヤノンイーグルス、SO)のような経験値のあるSOという選択もあるのではないか」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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