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五輪絶望の今、桐生祥秀は3歳長男に伝えたい「負けは恥じゃない」 躓き続けた東京五輪後の3年間【日本選手権】

男子100メートル決勝で競り合う選手たち【写真:奥井隆史】
男子100メートル決勝で競り合う選手たち【写真:奥井隆史】

運動会で転んだ3歳長男へ「パパ、負けたよ。その代わり次はしっかり走るよ。だから…」

 東京五輪は4×100メートルリレーで代表入り。しかし、決勝はバトンが繋がらず、自身には回ってこなかった。「次は『パリや、パリや』と思いながら、実際はパリまで続けるかわからなかった」。6位だった22年日本選手権後、心身の疲労の影響で長期休養。大学2年時に国指定の難病「潰瘍性大腸炎」と診断されたことを公表した。

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 日本人初の9秒台を期待され、重圧とともに背負った日の丸。10か月後に実戦復帰し、走る喜びを感じながら戦い続けた。東京五輪から紆余曲折あった3年を「短かった」と表現する。

 29日の予選当日、3歳の長男も運動会だった。「フライングして、しかもこけたんですよ」。動画の中身を語る姿は嬉しそう。1番になる約束を果たせなかった日本選手権。敗れはしたが、息子に見せたい姿がある。

「今日は『パパ、負けちゃったよ』って伝えると思う。別に負けは恥ずかしいことじゃない。息子にもどんどんいろんなところで負けたり、躓いたりしてほしいんですよね。躓かないと次の一歩って大きく踏み出せないから。そう思ったら、息子には『負けたよ。その代わり次はしっかり走るよ。だから、次はしっかり走ろうな』って言いたい」

 これだけ万全な調整期間が短かったのは初めて。「俺、1、2か月練習できたらもっといけるんじゃないか」と思えたのも事実だ。まだ4×100メートルリレーで代表入りの可能性もある。「選ばれたら仕事をします」と誓い、先のキャリアを見据えた。

「『もう1回、オリンピックを目指したい』とも思った。本当は(28年の)ロス五輪まで目指したいけど、どうなるかわからない。一年、一年しっかりやってロスが来たらいいなぐらいですかね」

 大きく躓いた。だから、次の一歩も大きくなるはずだ。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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