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初V・桑木志帆と歩き続けた66歳父の献身 脳梗塞で倒れ、痛み止めを飲み…記し続けた水色ノート

脳梗塞で倒れた父へ、口うるさく注意した娘との絆

「ジュニアの時からの癖じゃないですかね。それに仕事もあるんです」。

 そう言って見せてくれたのは、B5サイズの水色のキャンパスノート。正利さんがフリーハンドで各ホールの図面を作り、娘の打球方向などを確認して書き込む。その後に桑木が距離や番手を加え、マネジメント会社がデータ化している。

「何試合かやって振り返る感じ。ノートがあるのは大きい」と桑木が語るように、活躍に欠かせない大切な冊子。大本を作っている正利さんは「嫌がっても付いて歩かなければいけない」と言いつつ、ちょっぴり嬉しそうだ。

 そんな父がツアーに帯同できなかった時期がある。昨年、北海道での大会期間中、脳梗塞で倒れた。不安の中でも、ストイックな桑木は出場を続行。試合を終えて、病院に駆けつけた。

 いつも行動をしている父と21歳の娘。誕生日も父の日も、特別なことはしない。正利さんが「普段はしゃべらない」と表現する関係性も納得だが、この時ばかりは違った。「口うるさく『気を付けろ』と言われました」。親子の絆を確かに感じるひと時でもあった。

 幼い頃、厳しかった父の指導でゴルフが嫌になったこともある。でも、紆余曲折を経た桑木は今、「一番の味方」と感謝する。1年前にはPOの末に敗れた大会。今季は7度のトップ10入りも優勝には届かず、何度も悔しさを味わっていた。「(父は)早く初優勝してほしいなと思ってたと思う。一番はホッとしていますね」。最高のプレゼントを贈り、贈られた親子の挑戦はこの先も続いていく。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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