石巻に「幸せ」を― ラグビー元日本代表主将・菊谷崇らが被災地・石巻工で「夢応援」
2人が贈る言葉「一生一緒にやっていくチームのベースを高校3年間で作ろう」
「2日間一緒にいて、本気で仙台育英に勝ちたいという思いが伝わってきた。それと同時に僕自身もできることを精一杯して、仙台育英に勝って花園に出たいという思いが強くなりました。
みんな想像してみてほしい。仙台育英に勝つことで、石巻の人を喜ばせることができる。幸せを与えることができる。それを自分たちができる立場にいるということ。そして、それを達成した時に自分たちがどれだけ幸せで嬉しいことか。
それを達成するために今きついこと、しんどいこと、いろいろ乗り越えないといけない。それを仲間で助け合って、最後にみんなで笑えるように。僕も全力でサポートするし、みんなも今日立てた目標に向かって、一日一日を無駄にせずに、花園予選が終わった時に、みんなで笑えるように頑張ってほしい」(天野)
「仙台育英を倒すという目標に向かっていく中の具体的な行動に含まれていた『挨拶』。これを続けていくことが、被災地であるこの町を盛り上げることにも繋がっていくはず。それが、町を盛り上げるために頑張っているチームなんだと町の人が思ってくれる。そういう行動をやり続けることが、このチームの価値を上げるところにも繋がると思う。このチームがひとつになるために、もっと仲間になるためにやり続けること。
そして、ここで一緒にやったメンバーは、これから先、監督や僕らの年齢になってもずっと変わらずチームメートだから。生涯の友としても一生一緒にやっていくチームのベースを、高校3年間で作っていこう」(菊谷)
昨年は3年連続決勝の舞台で仙台育英相手に苦杯をなめる形となったが、今年こそは宮城県王者となり、花園の切符を勝ち取ることができるか。菊谷、天野をはじめとするキヤノンイーグルスと石巻工業の挑戦が再びスタートした。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
村上正広●写真 photo by Masahiro Murakami