台湾の後輩に日本語で「お疲れ!!」 3年ぶり日本復帰の陽岱鋼、19歳の挑戦に「もっと来いよ!!」
孫易磊との対戦翌日…今度は自身の長いプロ生活を感じる1日に
9回、日本ハムのマウンドに立ったのは1軍通算839試合登板、史上最多の393ホールドを誇る宮西尚生。オイシックスの橋上秀樹監督は、ここで代打・陽のカードを切った。「ブルペンで宮西が準備しているのは見えていたしね。エンターテインメントですから、こういうのもいいんじゃないですか」と狙っての起用だったと明かす指揮官は「ダイ(陽)も調子はまだまだですけど、このチームの打線を引っ張ってもらわないといけない選手ですから」と続けた。復調のきっかけにしてほしいとの狙いもあった。
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土曜日のスタンドからは大歓声が上がり、勝負の行方を見守った。2-2からの直球を捉えると三遊間を抜け、左翼フェンスにまで到達する二塁打とした。さらに1死からの遊ゴロで三塁に突っ込み、最後まで好機を演出した。
この一打を、相手ベンチから見つめたのが日本ハムの稲葉篤紀2軍監督だ。現役時代は共に外野を守った間柄。練習中には、陽と打撃談義を交わしたという。「まだスピードに慣れていない感じだけど、当てに行こうとしているように見えてね。もっとゆったり振ったほうがいいんじゃないかとね」。ヒントをすぐ生かしての結果だった。
陽のオイシックス入りは、橋上監督とも親交の深い稲葉監督が間を取り持った。「日本に戻ってくればいいと声がかかるだけ、選手にとってはありがたいこと。彼の野球人生の中で、独立リーグにいったり、オイシックスに入ったりと、必ずどこかでプラスになる」とエールを送る。
37歳の陽と、19歳の孫。台湾代表を支えてきたスターと、これから支えるスター候補の野球人生が交錯した。対戦と言葉で、先人の知恵と経験が新鋭に伝わった。最近2年間は米国や豪州の野球を経験し、日本に戻った陽にしかできない“仕事”だ。続いていく対戦が、楽しみでならない。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)