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200m平泳ぎはなぜ日本の「お家芸」なのか 4泳法で金メダル最多、日本人が進化させた種目の歴史

水泳ニッポンの「お家芸」に頼もしい男が戻ってきた。競泳男子の27歳・渡辺一平(トヨタ自動車)が、21日に東京アクアティクスセンターで行われたパリ五輪代表選考会の男子200メートル平泳ぎに2分6秒94で優勝。元世界記録保持者が2大会ぶりの五輪キップを獲得した。多くの名選手が歴史を繋いできた日本の得意種目。200メートル平泳ぎは、なぜ「お家芸」なのか。(文=荻島 弘一)

男子200メートル平泳ぎで五輪切符獲得した渡辺一平【写真:Getty Images】
男子200メートル平泳ぎで五輪切符獲得した渡辺一平【写真:Getty Images】

渡辺一平が男子200メートル平泳ぎで五輪切符獲得

 水泳ニッポンの「お家芸」に頼もしい男が戻ってきた。競泳男子の27歳・渡辺一平(トヨタ自動車)が、21日に東京アクアティクスセンターで行われたパリ五輪代表選考会の男子200メートル平泳ぎに2分6秒94で優勝。元世界記録保持者が2大会ぶりの五輪キップを獲得した。多くの名選手が歴史を繋いできた日本の得意種目。200メートル平泳ぎは、なぜ「お家芸」なのか。(文=荻島 弘一)

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 東京五輪落選の挫折から復活した渡辺と、22年世界選手権銀メダルの花車優(24=イトマン東京)は、ともに「金メダル」を宣言した。男女計28種目の中で最も「激戦」と言われた男子200メートル平泳ぎ。ともに東京五輪なら銀メダル相当の好タイムでキップを獲得しただけに、志は高い。

 口から出たのは「お家芸」という言葉。もともとは歌舞伎や能などの伝統芸能で各家が得意とし、歴史を継承してきた出し物のこと。五輪で体操、柔道に次ぐ83個のメダルを獲得してきた日本水泳界が最も大切にし、継承してきた得意種目が200メートル平泳ぎなのだ。

 近年では04年アテネ、08年北京大会で100と200の連続五輪2冠を達成した北島康介が有名だ。しかし、それだけではない。日本が競泳で獲得した個人種目の金メダルは男女合わせて22個。平泳ぎで獲得したのは12個(100メートル3個、200メートル9個)で、自由形(4個)、個人メドレー(3個)、背泳ぎ(2個)、バタフライ(1個)と他の泳法をはるかにしのぐ。

「お家芸」の歴史は1928年のアムステルダム大会で始まった。鶴田義行が陸上三段跳びの織田幹雄に次ぐ日本選手第2号の金メダルを獲得すると、32年ロサンゼルス大会で連覇。続く36年ベルリン大会では葉室鉄夫が優勝し、日本選手で五輪3連覇を果たした。

 56年メルボルン五輪で古川勝が金メダルを獲得、72年ミュンヘン大会では100メートル金メダルの田口信教が200メートルでも銅メダルを手にした。その後しばらくメダルから遠ざかったが2000年代に北島が登場。12年ロンドン大会銅メダルの立石諒までメダルが続いていた。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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