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世界と勝負できない日本マラソン界の現状 満たせぬ強者の条件、東京マラソンで弱点浮き彫りに

会見でコメントする瀬古利彦氏【写真:中戸川知世】
会見でコメントする瀬古利彦氏【写真:中戸川知世】

高岡シニアディレクターが求めるのは「再現性」

 日本陸連の中長距離・マラソン担当シニアディレクターの高岡寿成氏は常に安定したタイムで走れる「再現性」を求めた。もちろん、コースや条件が変わる中で同じような結果を出すのは不可能に近い。それでも、安定した力を発揮することが重要。「走ってみなければ分からない」では心もとない。

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 2月の大阪マラソンで国学院大3年の平林清澄が初マラソン日本最高記録を出したように、日本男子のレベルが底上げされているのは間違いない。大学や実業団が駅伝重視を見直してマラソン強化に取り組んだことも大きいし、高速シューズの登場もある。ただ、世界は日本以上に記録を伸ばしている。3日の東京マラソンも、上位のケニア勢と日本勢の差は絶望的なほどに大きかった。

 MGCの後、瀬古氏は「今のままでは五輪では戦えない」と悲壮感をにじませていた。女子は前田穂南(天満屋)が19年ぶりの日本新記録でパリ五輪代表候補に浮上しているが、男子の顔ぶれは結局変わらず。MGC1位の小山直城は大阪マラソンで自己ベストを更新したが、世界と戦うレベルにはまだ足りない。

 パリ五輪に続いて来年には東京で34年ぶりに世界選手権が開催される。前回の91年大会では谷口浩美が金、山下佐知子が銀と、男女ともにメダルを獲得した。東京五輪では札幌開催となって実現しなかった東京でのビッグレース。トップ集団で走る日本勢を見たい思いはあるが「狙ったレースで結果を出せない」ようでは、それも難しいかもしれない。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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