日本新ならずまた涙 新谷仁美、「結果」に人生を懸ける仕事人間の流儀「頑張ったからOKはダメ」【東京マラソン】
「日本記録はダメだろう」から終盤に奮い立った理由「走っていて感じたことです」
新しく取り入れた感覚優先の走りは、この日はうまくいかなかった。ただ、中盤に「もう日本記録はダメだろう」と思った自分を奮い立たせたものがある。「走っている時、私自身が感じたことです」。会見で涙を拭いながら切り出した。
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「この大会で応援が一番多いんじゃないかっていうくらい、最後まで……。応援が力になった。凄く嬉しかった」
2014年に一度引退し、4年間のOL生活を経験。アスリートがどれだけ恵まれているかを知り、「結果で恩返し」にこだわるようになった。18年に現役復帰。5000メートル、1万メートル、ハーフマラソンで自己ベストを更新してきた。次は「嫌い」と公言するマラソン。逃げずに向き合い、戦うのが大事だから挑戦する。
サポートしてくれる人の顔を思い浮かべると、悔し涙が止まらない。
「感謝の気持ちは常に必要だけど、まっさらな状態でこの業界に戻ってきて、変わらずサポートしてくれる人がいる。月日が経っても私を受け入れてサポートしてくれる人たちに、言葉じゃなく、目に見えないものじゃなく、ちゃんと目に見えるものとして私が返せるものを返したい。
だから、今の私が返せるものがあるとしたら……可能性があるかわからないけど、日本記録のタイトルは形として残ると思う。感謝が伝わりやすい。だから、そこにこだわりを持ち続けている。今後も可能性があるなら持ち続けたい」
肩にタオルを掛けられたフィニッシュ直後、正面へ頭を下げた。コースを振り返ってもう一度。自分に厳しい結果主義者の「形」で返す挑戦は続く。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)