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井上尚弥、「ここで伝えたい」と敢えて触れたリング禍 MVPスピーチで果たした責任とその意味

ボクシングの2023年度年間優秀選手表彰式が19日、都内で行われ、6年連続7度目の最優秀選手賞(MVP)に輝いた世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)らが出席した。6年連続は歴代単独最多となり、年間最高試合賞(世界戦)とKO賞とともに3冠に。壇上のスピーチでは、2日に亡くなった穴口一輝選手に言及。迷いがありながら、ボクシング界の代表とした立った場で責任を果たした。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

年間表彰式、壇上のスピーチで想いを語る井上尚弥【写真:山口比佐夫】
年間表彰式、壇上のスピーチで想いを語る井上尚弥【写真:山口比佐夫】

ボクシング年間表彰式

 ボクシングの2023年度年間優秀選手表彰式が19日、都内で行われ、6年連続7度目の最優秀選手賞(MVP)に輝いた世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)らが出席した。6年連続は歴代単独最多となり、年間最高試合賞(世界戦)とKO賞とともに3冠に。壇上のスピーチでは、2日に亡くなった穴口一輝選手に言及。迷いがありながら、ボクシング界の代表とした立った場で責任を果たした。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 はっきりと、かつ慎重に、語気を強めながら言葉を紡いだ。

 他階級の世界王者や関係者、一般客など数百人が見守った表彰式。マイクの前に立った井上は受賞への感謝を語った後、続けた。

「僕ら選手は覚悟を持ってリングに上がっています。そして、ボクシングは勇気や感動を与えるとともに、常に危険と隣り合わせのスポーツと再認識しないといけません。ここで伝えたいのは、昨年12月26日に国内の年間最高試合を受賞した穴口選手の試合。あの日見た試合はファンの皆さんの心の中で生き続け、輝き続けると思います」

 井上が2階級4団体統一を果たした昨年12月26日の興行では、セミファイナルで日本バンタム級王座に挑戦した穴口選手が試合後に意識不明に。救急搬送された病院で開頭手術を受けたが、意識が戻ることなく2月2日に23歳で死去。亡くなる直前には、この試合が年間最高試合賞(世界戦以外)の受賞が発表されていた。

 井上が選手を代表して臨んだスピーチ。内容はジムの大橋秀行会長とも相談したという。

「選手代表としてのスピーチで(リング禍に)触れるか、触れないか。自分の中でも、会長とも相談しながら凄く迷いました。ただ、やっぱり選手代表ということで少し話をさせてもらいました」

 式典冒頭では黙とうが捧げられ、各選手の試合を振り返るVTRでは堤と穴口選手が健闘を称え合い、拍手を送る観客席の様子が流された。拍手に包まれた井上のスピーチを見守った大橋会長は「さすがですね。良い挨拶でした。難しかったと思う。ボクシング界代表の挨拶ですし、きっちり大役を務めてくれました」と振り返った。

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