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21点差大逆転、富樫勇樹とMr.ジェッツが背中で導いた決勝への道 敵将も脱帽「褒めないといけない」

バスケットボール男子の天皇杯全日本選手権は14日に準決勝を行い、船橋アリーナでは連覇を狙う千葉ジェッツが宇都宮ブレックスに78-72で勝利し、決勝進出を決めた。昨年の準決勝と同カードとなったBリーグの名門同士の一戦。最大21点差を逆転した千葉を牽引したのは、2人のベテランの存在だった。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久真大)

千葉ジェッツ・富樫勇樹【写真:B.LEAGUE】
千葉ジェッツ・富樫勇樹【写真:B.LEAGUE】

天皇杯連覇を狙う千葉が宇都宮に大逆転勝利

 バスケットボール男子の天皇杯全日本選手権は14日に準決勝を行い、船橋アリーナでは連覇を狙う千葉ジェッツが宇都宮ブレックスに78-72で勝利し、決勝進出を決めた。昨年の準決勝と同カードとなったBリーグの名門同士の一戦。最大21点差を逆転した千葉を牽引したのは、2人のベテランの存在だった。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久真大)

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「これだけ痺れる試合はそんなに多くない」

 日本代表の主将でもあり、昨夏のワールドカップ(W杯)でパリ五輪出場を懸けて世界と戦った富樫勇樹も唸るほどの逆転劇だった。開始約6分までに0-16と連続失点を許し、序盤は完全に宇都宮ペース。第2Q残り3分5秒には、リードをこの日最大の21点差まで広げられた。前半を終えて29-45。しかし、アリーナを真っ赤に染めた千葉ブースターの諦めない声援が逆襲を後押しした。

 点差が縮まるたびに高まる声量。「GO JETS!」の大合唱が宇都宮を飲み込む。点差が1桁になった時には、まだビハインドにもかかわらず完全に千葉優位の雰囲気になっていた。「Mr.ジェッツ」の異名を取る37歳のベテラン西村文男も「ホームの力、この言葉に限るかな」と観客に感謝。「久しぶりに鳥肌が立つような試合展開だった」と熱戦を振り返った。

 押せ押せムードを作り出したのは、間違いなくキャプテンの富樫だった。ジョン・パトリックヘッドコーチ(HC)が「スターティングメンバーの中で、勇樹だけが最初から攻めようとした。『Don’t be scared(恐れるな)、戦いましょう』と言っていた」と証言するように、声かけでも、プレーでもチームを牽引。戦う姿勢を自らの背中で示した。

「言い方は悪いが、(チームメートが)本当に怖がっていたように僕には見えたので、無理やりでも自分でこじ開けたい、こじ開けなきゃという気持ちが正直あった」

 富樫はその言葉通り、前半は鋭いドライブで自ら切り込み、アンドワンを連発。後半に入ると3ポイントシュート(3P)も入り始め、手が付けられなくなった。終わってみれば両チーム最多の29得点9アシスト。宇都宮の佐々宜央HCも「僕らが反省するところもあるが、こういう時はちゃんと富樫を褒めてあげないといけない。素晴らしいじゃないですか。そんなにイージーショットでもなかったし、富樫の集中力が凄かった」と脱帽せざるを得なかった。

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