「どうするん、気合入れて髪刈ってきたのに」 日韓戦と思って中目黒に来た久保竜彦、冷える頭と日本の熱い夜
「この観戦記が好評なん? こんなん普通記事にならんやろ。俺、酒飲んで喋っとるだけやん」
今夜もキックオフのホイッスルより先に響いたのは、エビス350mlの「プシュッ!」という快音。
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試合は日本が序盤から優位に運ぶ。前半30分、この日最初の「んあー!」の絶叫が。毎熊のミドルのこぼれ球を堂安が詰め、先制点。そして、咆哮。「あのシュート、毎熊なん? なんでサイドバックがあんなとこおるん?」
前半40分に2本目のエビス350mlを投入するとヒートアップ。「パンパンパーンと行って、ゴール前でパーンやん。そうやろ?」。篠塚に憧れた巨人党らしく、ミスターが憑依したかのようなドラゴン節で、いまいち噛み合わない上田に檄を飛ばす。
好物のハッピーターンに手もつけない熱戦。
後半4分、決定機に上田が堂安とお見合い。直後、久保がゴールに押し込むも、オフサイドの旗が……。「上田、なんで止まるん。なんで打たんの。優しすぎるんか、(周りが)見えすぎるんか。堂安ごとゴールにぶち込まなあかんやろ」
苛立つドラゴン。しかし、VARで判定が覆り、ゴールが認められる。手のひら返しの上機嫌。「やっぱ、VARやな!」
後半19分、オウンゴールで1点差に迫られたが、27分に上田が巧みなターンから裏へ抜け出す。「打て!」。1対1からGKの股を抜くダメ押し弾。手をパンパンと10度も叩いて喝采。「今日、今までしょぼかったのが帳消しよ。おーん」
後半40分には、途中出場の三笘が60メートルのドリブルから決定機を演出。今度は「うわあ……」と恍惚の雄叫びが。「上手すぎるやろ。ヤッバイね、スッゴイね……浅野がついていけてないやん。もう、驚愕よ」
アディショナルタイム10分には「じゅっぷぅん!?」と驚き、またも苛立ち。「まだ? 審判まだやるん?」。催すものがあり、もぞもぞと立ち上がって画面の至近距離から主審に圧をかける。そして、試合終了のホイッスルとともに、一目散にトイレに消えた。
すっきりした状態で実施した解説インタビュー。
往年のオランダ名手とダブって見えたという三笘のプレー、3得点の裏で挙げた意外な勝利のキーマンから、2戦連続の快勝でよぎった次戦の不安まで存分に語った。
今夜もほんのり顔を赤らめ、酒と日本代表の勝利に酔った夜。頭は冷えても、日本戦は熱かった。
「この観戦記が好評なん? 嘘やろ。だって、こんなん普通記事にならんやろ。俺、酒飲んで喋っとるだけやん。どういうことよ……まあ、俺は読んどらんけどな」
そうは言っても、今夜もドラゴン色に染められた文字がこうして躍る。最後まで饒舌に、1月最後の夜の中目黒に消えていった。
なお、インタビュー記事は近く配信する。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)