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V大本命日本も苦しむアジア各国強化の背景 名将招聘、アジア枠8.5で「W杯は無理」中堅国も本気に

世界的名将を続々招聘、W杯アジア枠「8.5」で中堅国も強化に本腰

 1次リーグを見ていると、アジアのレベルアップが分かる。まず、大差の試合が減った。24チーム参加となった前回大会は5点差、6点差という試合もあったが、今回は4点差が1試合あっただけ。マレーシアが壮絶なゴールの奪い合いで韓国と分けるなど、引き分けが36試合中10試合。これも前回の5から倍増した。VARの影響か長くなったアディショナルタイムと合わせて、最後まで勝敗の行方が分からない試合が増えた。

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 チームとしての意図が明確なチームが増えたことも驚いた。選手個々の技術力向上はもちろん、チームの「意図」が強く感じられた。相手が強くても引かず、DFラインを高く保つコンパクトな守備。攻撃でもパスを回すのか、蹴りこむのか、チーム戦術が徹底されていた。セットプレーの質も高かった。チームとして準備された、今風にいえば「デザインされた」CKやFKからのゴールも多かった。

 相手の研究も進んでいる。システムや戦術を分析し、それに応じて戦い方を柔軟に変えながら、自分たちのストロングポイントで戦う。体格に恵まれない東南アジアのチームはスピードを武器に相手ゴールに迫り、西アジアのチームは高さを武器にFWのポストプレーからゴールを狙う。各国が「らしさ」を見せるのは、代表チームならではの楽しみ。1次リーグから、そういう試合が多かった。

 海外から監督を招聘するのは今に始まったことではないとはいえ、韓国のクリンスマン監督やサウジアラビアのマンチーニ監督など、豪華さはさらに増している。欧州でプレーする選手は確実に増えているし、自国にルーツを持つ欧州の選手を発掘してチームに加える例も目立つ。これまでの大会以上に、各国の「本気」を感じる。

 拡大されるW杯の影響も大きいのではと思う。次回26年大会から、アジア枠は4.5から一気に増えて8.5。これまで「W杯は無理」と思っていた中堅国にも、チャンスが広がる。「W杯に出られるなら」と各国協会は資金を投入して本腰を入れるだろうし「W杯が現実の目標になった」選手の意識も変わる。アジア杯の成績は、W杯アジア3次予選以降の組み合わせを決めるFIFAランクにも直結する。特に中堅国にとって、この大会で上位を目指すことはW杯にもつながるというわけだ。ランクが高い日本を倒せば多くのポイントが獲得できるから「打倒日本」へのモチベーションは自然と高くなる。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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