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日本ラグビーは「世界トップ10でも恵まれている」 協会専務理事が代表新HCに求めることは?

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が終わり、日本協会の岩渕健輔専務理事がTHE ANSWERの単独インタビューに応じた。15人制日本代表の強化についての振り返りと、これからの強化ビジョンについて語る中で、前編ではフランス大会までの日本代表をどう評価していくかを中心に話を聞いた。中編では、今回のW杯までの日本代表のパフォーマンスと世界の潮流を踏まえて、人選が進む新体制に何を求めるのかを聞いた。(取材・文=吉田 宏)

ラグビー日本代表の次期HCの選考について語った岩渕健輔専務理事。今後の強化ポイントの1つに守備力の向上を挙げた【写真:編集部】
ラグビー日本代表の次期HCの選考について語った岩渕健輔専務理事。今後の強化ポイントの1つに守備力の向上を挙げた【写真:編集部】

日本ラグビーフットボール協会専務理事・岩渕健輔氏インタビュー中編

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が終わり、日本協会の岩渕健輔専務理事がTHE ANSWERの単独インタビューに応じた。15人制日本代表の強化についての振り返りと、これからの強化ビジョンについて語る中で、前編ではフランス大会までの日本代表をどう評価していくかを中心に話を聞いた。中編では、今回のW杯までの日本代表のパフォーマンスと世界の潮流を踏まえて、人選が進む新体制に何を求めるのかを聞いた。(取材・文=吉田 宏)

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 日本代表のW杯プール戦敗退という成績を受けて、退任したジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の後継者の選考が進む中で、日本協会として重視し、求めるものは何か。岩渕専務理事は2つの項目を論点に挙げた。

「それははっきりしています。まずシステム的な状況を十二分に理解してもらうことです。当然、日本協会としても改善はしていきますが、まず前提として日本の今の状況を受け入れて、その上で強化をしていくという姿勢は絶対に必要です。日本の国内事情を敗因に求めるのはそもそも違う話なので、そこがまず大きな前提になると思います」

 専務理事が語った“システム”とは、前編で紹介したように現在日本代表が置かれた強化面の状況、環境を指している。強豪国との代表戦を積極的に組もうと奔走する日本協会だが、その一方で、各国協会同士が連携しているヨーロッパや南半球とも離れた日本の地理的な不利は間違いなくある。同時に国内ラグビーも、他国のようなクラブシステムが土壌として存在せず、企業や大学をベースに組み上げられている特有の構造だ。協会と代表チームを頂点とした強化のピラミッドが構成されている主要国とはかなり異なることも、代表を強化していく上では難しい部分もある。そのような事情を理解して、その環境の中でどう代表チームを強化していくかが、次期HCに求める重要な条件になる。

「例えば、過去にはいわゆる当時のハイパフォーマンスユニオン(世界トップ8クラスの代表と、それに同等の運営力、事業力を持つ協会)レベルの国代表との試合が限られていました。でも、強豪国と十分に試合ができない環境だから勝てないという議論は成り立たないと思います。日本代表は6か国対抗(ヨーロッパ最強の6か国による国際大会)にも、ラグビー・チャンピオンシップ(南半球強豪4か国による対抗戦)にも入っていない。でも、このクラスの代表チームとの試合を、一定程度は組めています。そういう国際スケジュール、カレンダーの中で、どういう結果を出せるかが重要です。

 それからもう1つ大きなところは、日本代表がどういうところが強みで、どういうところが弱みなのか、世界に対して何がアドバンテージで、現在の世界トレンドをどう見ていて、それをどうやってチームに落とし込み、強み、弱みをグラウンドの上で表現できるか。ここが大きな2つの、少なくとも私にとっては選考する時のポイントになります」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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