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代表落選しても勝者に笑顔を向けた理由 柔道五輪王者・高藤直寿「互いにしんどいんですよ」

柔道のグランドスラム(GS)東京大会第2日が3日、東京体育館で行われた。男子60キロ級では、30歳の東京五輪金メダル・高藤直寿(パーク24)が準優勝。来年パリ五輪代表争いを繰り広げた27歳の永山竜樹(りゅうじゅ、SBC湘南美容クリニック)に決勝で敗れ、強化委員会で代表落選が決まった。試合直後の畳では、内定した勝者を笑顔で労った五輪王者。互いの苦しみを理解するからこそできる行動だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

高藤直寿【写真:Getty Images】
高藤直寿【写真:Getty Images】

柔道グランドスラム東京

 柔道のグランドスラム(GS)東京大会第2日が3日、東京体育館で行われた。男子60キロ級では、30歳の東京五輪金メダル・高藤直寿(パーク24)が準優勝。来年パリ五輪代表争いを繰り広げた27歳の永山竜樹(りゅうじゅ、SBC湘南美容クリニック)に決勝で敗れ、強化委員会で代表落選が決まった。試合直後の畳では、内定した勝者を笑顔で労った五輪王者。互いの苦しみを理解するからこそできる行動だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 五輪王者は笑って勝者を称えた。永山との直接対決は延長へ。高藤は試合途中で負傷し、顎付近を包帯でグルグル巻きにした状態で畳に戻った。しかし、直後に一本背負いで敗戦。この時点で五輪連覇の夢が絶望的となった。ゆっくりと体を起こし、礼。汗だくの笑顔で歩み寄り、勝者の頭を撫でまわした。

「よく頑張ったな。また頑張れよ」

 東京五輪後、昨年世界選手権で4度目の優勝。だが、その後は苦しみの連続だった。優勝なら内定と目された今年5月の世界選手権は5位。8月のマスターズ大会も3位と決め切れず。国際大会で連勝した永山の猛追を受けた。東京五輪でも代表権を争い、直接対決で高藤に軍配。今大会を制すれば、パリ切符は濃厚と見られていた。

「自分の子どもたち、若い選手たちに気迫のある姿を見せられたかなと。今日は気合い。それしかない。気持ちだけで臨みました」

 試合後の強化委員会で内定が発表されたのは永山。「高藤先輩に勝って代表にならないといけない。ずっとライバルで尊敬する先輩。決勝で戦えてよかった」と自分を成長させてくれた存在に感謝した。昨年は連敗続き。「ここで終わっちゃうのかな」と一時は五輪を諦めかけた。「自分を変えたい」と1か月の海外武者修行。全ては高藤に勝ってパリに行くためだった。

「多少は戦略もあるけど、基本は本能で戦った。重圧を感じないようにしていたけど、ずっと感じていた。肩の荷がバン!と下りて解き放たれました」

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