アマチュアボクシング・岡澤セオン＆原田周大インタビュー第1回

　アマチュアボクシングの2021年世界選手権男子ウェルター級（67キロ以下）金メダルの岡澤セオン（INSPA）が、「THE ANSWER」のインタビューに応じた。アマアスリートながら、自らかき集めたスポンサー収入で活動する27歳。アマ初の「プロのアマチュアボクサー」として2021年東京五輪にも出場した。

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　今年10月のアジア大会男子ライトミドル級（71キロ以下）を制し、ボクシングでは来年パリ五輪代表第1号に。同じく代表内定した男子フェザー級・原田周大（専大）を含めて全6回でお送りする。第1回は、岡澤がプロ活動の新たなスタイルを築くまでの道のりを明かす。（文＝THE ANSWER編集部・浜田 洋平）

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　理路整然とクレバーに、熱のこもった岡澤の語り口に本気度が表れていた。

「大学を卒業しても、競技を続けてもらえるような業界にしたい」

　ボクシング界において、「プロ」と「アマ」の線引きは他の競技のそれとは異なる。ラウンド数、グラブの大きさ、ヘッドギアの有無などルールが別れ、「短距離走と長距離走ほど違う」と例えられてきた。一流プロがアマに転向してもすぐに活躍するのは難しく、その逆もしかり。アマの上のレベルにプロがあるわけではなく、全くの別ものである。

　ただ、世間は「プロが上」の印象を持つ人が多い。だから、岡澤はアマボクサーのままプロ活動に励んだ。

「どんどん新しいことをしたいなと。一番最初はやっぱりプロへの対抗意識みたいなものがありました。プロを下に見ているわけではないですが、上に見ているわけでもない。対等だと思っています。でも、世の中では対等に見られてない。やっぱりお金を稼げないと対等にならないと思ったんです。

　僕らがどれだけ『強いんだ』『アマチュアの金メダルにはこんなに希少価値があるんだ』と言ったって、じゃあ子どもたちに『どっちになりたいの？　岡澤セオンと井上尚弥のどっち？』と言ったら、どう考えても井上尚弥選手なわけで。そこを変えないといけない」

　大半が大学までボクシング部に所属し、卒業後も続ける選手は自衛隊体育学校や各都道府県の体育協会などに籍を置く。他の仕事に励みながら練習するのも当たり前。競技を続けるための受け皿が少なく、より稼げるプロに転向したり、大学で引退する選手もいたり。競技者としてピークを迎える前に離れていく。