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「チームのため」という十字架を背負うな 世界の名ストライカーに共通、ゴール量産に必要な素養

何を言われてもボールを要求する、ふてぶてしさも必要

 走行距離やスプリント回数のようなデータが重視される現代だが、ストライカーの資質は反比例するという。「チームのため」という十字架を背負ってしまうと、やがてそれを担ぐことに慣れ、ゴールが遠のく。そうなると、末路は決まっている。何を言われても、『必ずゴールをする』というふてぶてしさでピッチに立ち、ボールを要求し、決め切る胆力が必要なのだ。

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 それがストライカーに求められるメンタリティだろう。

 日本代表の上田綺世、古橋亨梧の2人は、「Desmarque」に優れている。マーカーと体を合わせた時にパワーがあるが、それに依存するのではなく、スピードの緩急や方向転換によって、駆け引きでズレを生み出せる。昨シーズンそれぞれ、ベルギーリーグで22得点、スコットランドリーグで27得点とゴールを量産できたのは、必然と言える。

 2人とも点取り屋独特の気概が見える。

「自分の力で、チームを勝たせてやる」

 そうした割り切りというのか。そこで腹を括れなかったら、ゴールはできない。チームのため、という言葉で体力を使い果たしていたら、肝心のチャンスの場面で足を振れない。余力は残っていないのだ。

 ストライカーは、己の行くべき道を信じて行けるか。唯我独尊。その気概が透けて見えるくらいがちょうどいい。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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