「チームのため」という十字架を背負うな 世界の名ストライカーに共通、ゴール量産に必要な素養
何を言われてもボールを要求する、ふてぶてしさも必要
走行距離やスプリント回数のようなデータが重視される現代だが、ストライカーの資質は反比例するという。「チームのため」という十字架を背負ってしまうと、やがてそれを担ぐことに慣れ、ゴールが遠のく。そうなると、末路は決まっている。何を言われても、『必ずゴールをする』というふてぶてしさでピッチに立ち、ボールを要求し、決め切る胆力が必要なのだ。
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それがストライカーに求められるメンタリティだろう。
日本代表の上田綺世、古橋亨梧の2人は、「Desmarque」に優れている。マーカーと体を合わせた時にパワーがあるが、それに依存するのではなく、スピードの緩急や方向転換によって、駆け引きでズレを生み出せる。昨シーズンそれぞれ、ベルギーリーグで22得点、スコットランドリーグで27得点とゴールを量産できたのは、必然と言える。
2人とも点取り屋独特の気概が見える。
「自分の力で、チームを勝たせてやる」
そうした割り切りというのか。そこで腹を括れなかったら、ゴールはできない。チームのため、という言葉で体力を使い果たしていたら、肝心のチャンスの場面で足を振れない。余力は残っていないのだ。
ストライカーは、己の行くべき道を信じて行けるか。唯我独尊。その気概が透けて見えるくらいがちょうどいい。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)