NPBへの夢破れても「僕は報われている」 コロナで人生激変、チェコで投げた日本人が考える“野球の活かし方”
昨年まで、BCリーグの茨城でプレーしていた市毛孝宗投手はこの1年間、豪州とチェコという海外のリーグで投げ続け、この秋は再び豪州へ向かった。かつては社会人野球の企業チームでプロを目指していたのが、なぜ世界で投げ続ける方向へ変わっていったのか。チェコから帰国後に「THE ANSWER」のインタビューに応じ、人生において野球を「どう使うか」について語ってくれた。 (取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥 慶太)
元BC茨城の市毛孝宗が送る“ちょっと変わった”野球人生
昨年まで、BCリーグの茨城でプレーしていた市毛孝宗投手はこの1年間、豪州とチェコという海外のリーグで投げ続け、この秋は再び豪州へ向かった。かつては社会人野球の企業チームでプロを目指していたのが、なぜ世界で投げ続ける方向へ変わっていったのか。チェコから帰国後に「THE ANSWER」のインタビューに応じ、人生において野球を「どう使うか」について語ってくれた。 (取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥 慶太)
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市毛は今春、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での大健闘で話題となったチェコのトップリーグ「エクストラリーガ」に飛び込んだ。「ソコル・フルボカー」というチームで12試合に投げ2勝1敗という数字を残して帰国。そしてこの秋は、豪州に渡り野球を続けている。人と“ちょっと違った”野球人生を送るきっかけは、新型コロナ禍にあった。
元々は、日本のプロ野球を目指していた。茨城・霞ヶ浦高から北海道の星槎道都大に進み、2017年の明治神宮野球大会では決勝のマウンドにも立った。卒業後は山形県のきらやか銀行で、社会人からのプロ入りを目指していた。1年目、台湾のウインターリーグに参加する社会人選抜に呼ばれる可能性があったが、腰の手術を受け叶わなかった。プロ解禁となる2年目のシーズンを終えても指名はなく、代わりにやって来たのがコロナ禍だった。
「アピールしなければいけないのに大会がなくなって……。このまま社会人にいても、プロにはなれないと思いました。だったら外に行って、下位指名でもプロに入れる環境に身を置きたいと思ったんです」
きらやか銀行では店舗業務や営業に従事し、必要な資格も取っていた。それでもプロ野球への思いが上回り、独立リーグへ身を投じた。BC茨城ではトレーナーとの二人三脚でフィジカルから徹底的に見直し、2年間「やり切った」と思えたが、プロから声はかからなかった。