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同級生ダルビッシュの姿は「昔と何も変わらない」 東北高出身の審判員が今も感化される旧友の言葉

今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。世界一に輝いた「侍ジャパン」のまとめ役を担ったのは、チーム最年長のダルビッシュ有(パドレス)だった。強化合宿期間からチームメイトと積極的に交流を図り、若手選手に技術を伝授することも。東北高校時代の同級生で現・仙台六大学野球連盟付属審判部長の坂本健太さん(37歳)は、そんな旧友の雄姿を「昔と何も変わっていないな」と懐かしみながら見守っていた。(取材・文=川浪 康太郎)

仙台六大学野球連盟付属審判部長を務める坂本健太さん。東北高ではダルビッシュと1人の友人として接した【写真:川浪康太郎】
仙台六大学野球連盟付属審判部長を務める坂本健太さん。東北高ではダルビッシュと1人の友人として接した【写真:川浪康太郎】

「大学野球審判の実像」第2回、驚かされたダルビッシュの探求心

 今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。世界一に輝いた「侍ジャパン」のまとめ役を担ったのは、チーム最年長のダルビッシュ有(パドレス)だった。強化合宿期間からチームメイトと積極的に交流を図り、若手選手に技術を伝授することも。東北高校時代の同級生で現・仙台六大学野球連盟付属審判部長の坂本健太さん(37歳)は、そんな旧友の雄姿を「昔と何も変わっていないな」と懐かしみながら見守っていた。(取材・文=川浪 康太郎)

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 坂本とダルビッシュの出会いは高校に入学したばかりの頃。同じクラスだったこともあり、すぐに仲良くなった。初めてキャッチボールをした時、衝撃を受けた。「正直、自分も宮城の中学生の中では力があるほうだったので自信はあったんですけど、全然違いましたね。同じ高校生でこんな選手がいるんだ、と」。それ以来、投手のライバルとしてというよりは、1人の友として接することのほうが多くなった。

 2人で遊ぶ際のマストアイテムは野球ゲームの「実況パワフルプロ野球」。坂本が「私の記憶では、1回勝ったか勝っていないかくらい。現実の世界でもゲームの世界でも勝てなかった」と話すほど、ダルビッシュは強かった。1番に長距離砲のペタジーニ(元ヤクルトなど)を置く打線を組んだり、伊藤智仁(元ヤクルト)のスライダーを多投したりと、ゲームであろうと勝つための戦略を真剣に練っていたという。

 もちろん、現実の野球の技術も突き詰めていた。多彩な変化球を操り、メジャーリーグでも長く活躍し続けているダルビッシュだが、変化球への探究心は当時から揺るがない。教室では休み時間などを使って「変化球バイブル」に読みふけり、得意げに「シンカーはこう握ったほうがええで」と教えてくれることもあった。

 練習量は膝の成長痛の影響もあって特段多かったわけではないものの、高校2年の冬からトレーニングに目覚める。きっかけは、新チームの主将、エースとして臨んだ明治神宮大会で済美高校(愛媛)にコールド負けを喫したこと。オフシーズンになって各々が帰省する中、ダルビッシュは地元の大阪には帰らず、仙台市内にある坂本の実家に泊まって練習を続けた。早朝からランニングで汗を流し、昼以降はジムでウエイトトレーニングやプールトレーニングに勤しんでいた。

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