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アジア大会40競技で卓球が特別といえる理由 「ガチ」の仮想五輪、1強中国相手に日本が躍動した意味

「王国」で行われた「仮装五輪」で生まれた期待

 さらに、今大会は「王国」での開催。会場は連日超満員で、その熱気はテレビ画面を通しても伝わってきた。中国選手への大声援が響くアウェーの状況。そんな中で中国選手を破ったのだから、早田や張本、木原らの活躍は特筆すべきものがある。

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 今大会の活躍で、早田はパリ五輪代表の座を確実なものにした。日本協会が定めた選考ポイント対象大会での銀メダル。16強に終わった2位の平野美宇、出場していない3位の伊藤美誠を大きく引き離したからだ。

 パリ五輪女子シングルスの代表枠は2。選考レースは来年1月まである。平野と伊藤による激しい代表争いは続くが、一足先に抜け出した早田はコンディションと相談しながら余裕をもって来年の本番を目指せる。そういう点でも今回の銀メダル獲得は大きい。

 かつて「打倒中国」は遠い夢だった。五輪で団体戦が採用された08年北京大会は5位。その後、銀、銅、銀メダルで現実的な目標になっても、中国の壁は高かった。しかし、東京五輪混合ダブルスで中国の壁を崩し、打倒中国が見えてきた。あと少し、と思いたい。

 早田は決勝で世界1位の孫穎莎に敗れたものの、1ゲームを奪って競り合ったことで手ごたえもつかんだはず。「(パリ五輪まで)あと1年で、時間はない。1日1日を大切に頑張りたい」という言葉は力強い。「王国」で行われた「仮想五輪」での活躍。パリ五輪に向けて、期待せずにはいられない。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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