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Jユースで「部活にない経験を得られる」 澤登正朗が力説、人気復活の高校サッカーと異なる強み

人材確保に影響を及ぼすトップチームの活躍

 高校年代のサッカーで部活が最近のトレンドになっているなか、スカウティングにも変化が見られるようになった。

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「強豪校は小学校からスカウティングをしていて、そこでオファーを受けて早々に入学を決める子も多いですね。うちもスカウティングでは積極的に動いていますが、さすがに小学生の段階でユースに上げられるとは言えないんです。クラブと人数の枠の調整もしないといけないですし、果たしてユースになった時、どうかっていうのもありますからね」

 スカウティングは部活との競合もあるが、もちろん他のユースチームとの競争もある。

 例えば、澤登が素晴らしい素材と目をつけていた貴田遼河は、FC多摩ジュニアユースから名古屋U-18に加入したが、名古屋のトップが直々にスカウトした。良い選手はすぐにスカウティングに引っかかっていくが、クラブユースにはセレクションという方法もある。

「うちもやってはいます。関東のチームがやれば、100人以上が集まると思うのですが、うちは昨年の募集時は40名でした。エスパルスにどうしても入りたいという子供が少ないんだなぁというのを実感しましたし、危機感を感じました。今の子供たちは、クラブの魅力と同様に環境面を重視し、寮や練習場がいい所に行きたがります。うちは悪くないですけど、ずば抜けてはいない。これからはさらに環境を整えていきつつ、静岡県内外にチームの魅力を理解してもらって、スカウティングやセレクションで優秀な人材を確保できるように努力を継続していかないといけない」

 少子化が進む今後、どのようにユースの魅力を伝え、いかに素晴らしい選手を獲得していくのかは、Jリーグ各クラブの課題でもある。

 手っ取り早く魅力を増すことができるのは、トップチームの活躍だ。トップが強く魅力的であれば、子供たちはそのチームに憧れる。実際、魅力的なサッカーを展開している川崎フロンターレでは、ジュニア、ジュニアユース、ユースへのセレクション応募者が増え、数年前だがU-10だけで180名もの応募があった。トップチームの影響力は小さい子供たちの動機に、より大きなインパクトを与えている。

「トップチームの影響力は大きいです。J1で戦うことも非常に大きいですね。子供たちは強いチームに憧れるので、『トップの成績=育成のスカウティング』に影響します」

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澤登 正朗

サッカー元日本代表 
1970年1月12日生まれ、静岡県出身。東海大一高(現・東海大付属静岡翔洋高)でアデミール・サントスらと活躍し、86年度の高校選手権で初出場初優勝。東海大を経て92年に清水エスパルスに加入すると、リーグ戦35試合7得点を記録し、Jリーグ初代新人王に輝いた。その後も精度の高いキックを武器に10番を背負い、「ミスターエスパルス」として長年にわたって奮闘。99年のJ1リーグ2ndステージ優勝、2000年のアジアカップウィナーズカップ制覇などに貢献した。日本代表16試合3得点。05年の現役引退後は解説者として活躍。13年から常葉大浜松キャンパス(現・常葉大学)サッカー部を指導し、22年から清水エスパルスのユース監督を務めている。【写真:ⒸS-PULSE】

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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