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バスケ名門の「空気感をぶっ壊す」 35歳PG篠山竜青の覚悟、川崎主将に3季ぶり就任の理由

バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、前身の東芝時代の栄光を受け継ぐ国内屈指の強豪クラブ。熱狂的なブースターがアリーナをブレイブレッドに染め上げ、チームは毎シーズン優勝争いを展開している。そんな名門のリアルな姿に、選手のインタビューやコート内外のストーリーで迫る連載。第1回では2011年から川崎一筋でプレーする35歳のポイントガード(PG)、篠山竜青を直撃した。

川崎一筋13シーズン目の篠山竜青。今季単独キャプテンに復帰した【写真:川崎ブレイブサンダース】
川崎一筋13シーズン目の篠山竜青。今季単独キャプテンに復帰した【写真:川崎ブレイブサンダース】

連載「川崎ブレイブサンダースNOW」第1回、篠山竜青インタビュー前編

 バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは、前身の東芝時代の栄光を受け継ぐ国内屈指の強豪クラブ。熱狂的なブースターがアリーナをブレイブレッドに染め上げ、チームは毎シーズン優勝争いを展開している。そんな名門のリアルな姿に、選手のインタビューやコート内外のストーリーで迫る連載。第1回では2011年から川崎一筋でプレーする35歳のポイントガード(PG)、篠山竜青を直撃した。

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 2022-23シーズンの川崎は天皇杯3次ラウンド敗退、チャンピオンシップも初戦敗退と不本意な成績に終わった。10月7日の開幕戦からスタートする新シーズンは、クラブの誇りを取り戻し、11年にわたって大黒柱を担ったニック・ファジーカスのラストシーズンを「リーグ初制覇」で飾るという2つの重要なミッションに挑むことになる。インタビュー前編では、3季ぶりに単独キャプテンに復帰した篠山に、勝負のシーズンに懸ける想いを聞いた。(取材・文=青木 美帆)

 ◇ ◇ ◇

 5月14日。昨季チャンピオンシップ準々決勝で横浜ビー・コルセアーズに連敗してシーズンが終わった夜、篠山はファジーカスから声をかけられた。

「リュウセイは来年もチームにいるのか?」
「うん、いるよ」
「そうか。俺は来年が最後かもしれない」

 篠山は以前から、ファジーカスがユニフォームを脱ぐ時が近づいていることは、なんとなく感じ取っていたという。そしてこの時、とうとう本人の口から決定的な言葉を聞いた。

「僕のキャリアは常にニックがいたキャリアだったので」と篠山は言う。篠山が川崎の前身である東芝バスケットボール部に入部したのが2011年で、ファジーカスが加入したのはその翌年だった。日本代表としてプレーした時期もほとんど同じで、子供の年齢も近く、彼らを同じベビースイミングのクラスに通わせていたこともある。

「改めて寂しい思いにはなりましたけど、今年1年に懸ける思いっていうのは改めて強くなりました」

 だから、以前8シーズンにわたって務めていたキャプテンに就任した。

「賢次さん(佐藤賢次ヘッドコーチ)に『長くチームにいる僕やハセ(長谷川技)、ユウマ(藤井祐眞)がキャプテンをやったほうがいい』と伝えて、最終的に僕が打診を受けて承諾した形です。ニックがラストシーズンということは今年の川崎の大きなエネルギーになると思うので、そこをしっかりまとめられるようにもう一度頑張ろうという思いでやります」

 9月16日に行われたシーズン出陣式で、篠山はこのようにファンに語りかけた。

「今シーズンの始まりは、ニックの引退からです。これを受けてキャプテンをやらせていただきます。(シーズンスローガンの)『オールイン』という言葉はポーカーで使われる用語が元になってるんですけど、持っているものを全部出して、勝てば優勝、負ければ何もなくなるという言葉です。今年ニックとともに戦って、来年このチームがどうなっているかは分からない。それぐらいの気持ちでやらなきゃいけないと思うし、自分自身ももう一度キャプテンとしてチームをまとめられればと思っています」

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