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ラグビー日本、“ニースの奇跡”へ 見えてきた戦法、イングランド必殺の足技を己の強みに

日本代表に勝負の時が近づいてきた。ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で、ともにプール戦初戦を制したイングランドとの直接対決。注目の一戦は、日本時間18日午前4時、スタッド・ドゥ・ニースでキックオフを迎える。昨年11月の敵地・トゥイッケナムで13-52と敗れた強敵を、どう突破できるのか。16日には双方メンバーも発表され、共にベストに近い布陣での対決になる。イングランドの武器は強力FWと、身長196cmの超大型FBフレディー・スチュワードを要したキック戦法。その高さと強さは日本にとっては脅威だが、自慢のカウンターアタックを仕掛けることができれば、39得点差のスコアを覆す可能性も見えてくる。(取材・文=吉田 宏)

日本代表は強敵イングランドをどう突破できるのか【写真:イワモトアキト】
日本代表は強敵イングランドをどう突破できるのか【写真:イワモトアキト】

決戦は日本時間18日午前4時、昨年11月に13-52で敗れた強敵をどう突破できるのか

 日本代表に勝負の時が近づいてきた。ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で、ともにプール戦初戦を制したイングランドとの直接対決。注目の一戦は、日本時間18日午前4時、スタッド・ドゥ・ニースでキックオフを迎える。昨年11月の敵地・トゥイッケナムで13-52と敗れた強敵を、どう突破できるのか。16日には双方メンバーも発表され、共にベストに近い布陣での対決になる。イングランドの武器は強力FWと、身長196cmの超大型FBフレディー・スチュワードを要したキック戦法。その高さと強さは日本にとっては脅威だが、自慢のカウンターアタックを仕掛けることができれば、39得点差のスコアを覆す可能性も見えてくる。(取材・文=吉田 宏)

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 ラグビー母国の必殺の武器を日本の強みに替える――。そんな戦法に可能性が見えてきた。

「どのチームもハイボールのプレッシャーというのは、結構キツイので、毎試合毎試合、1週間の準備で、ハイボールというのはBKの中で一番大事な部分でもある。いつもどおり……いつもよりは蹴ってくる回数が多くなると思うので、より集中していきたい」

 試合会場で、2013年に完成した地中海の“鳥の巣”スタッド・ドゥ・ニースで行われた会見で、WTB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)は、さらりと言い放った。警戒感は十分に準備しているが、大半を非公開で行う日本代表の練習では、おそらくスチュワード対策も入念に練られているはずだ。

 イングランドは昨秋アルゼンチンに1点差の惜敗を喫して、今年もW杯前最後のゲームで史上初めてフィジーに屈するなど苦しみながらW杯に漕ぎ着けた。だが、エディー・ジョーンスの後任として昨年12月に就任したスティーブ・ボーズウィック・ヘッドコーチ(HC)がチームに落とし込む、イングランド伝統のFW戦を軸にしたゲームスタイルが、ようやく結果を出し始めた。プール初戦では、最強の対抗馬と目されたアルゼンチンに27-10と雪辱。チームの大黒柱であるSOオーウェン・ファレル主将を出場停止処分で欠く中で、代役のジョージ・フォードが6PG、3DGを見事に成功させて、トライなしで宿敵をまさに蹴り落した。

 この足技による勝利も、伝統の系譜だ。攻めてはFWが密集周辺でパワフルに縦を突き一歩一歩前に出る。守っては、エディー時代からの継承で、防御ラインが素早く重圧をかけて相手にスペースを与えない。シンプルで力強いラグビーで、相手の反則を誘い、フォードの右足一本で勝利を決めた。エディー時代のイングランドは、俊敏さ、ボール展開力に長けた若手のマーカス・スミスが10番を背負う機会も多かったが、ボーズウィックは、ファレルを欠いた中で正確なキックを軸にゲームを組み立てるフォードを積極的に起用してきた。フォードが、ボーズウィックがレスターのコーチ時代の主力選手という師弟関係も大きく影響しているが、このベテランを10番に投入することで、ボーズウィック・イングランドのゲームスタイルが読み取れる。

 日本に対しては間違いなくボーズウィック流、つまりアルゼンチンをも苦しめた、FWのパワーとキックで挑んでくる。ニースでの激突は、日本のスピードとイングランドのパワー、展開力vs局地戦という様相だ。その中で、イングランドのもう一つの武器がキック。ハイボールで相手に重圧をかけ、敵陣に攻め込む戦法だ。中でもスチュワードは身長196cmと世界屈指の長身BKで、ハイボールの競り合いで無類の強さを誇る。身長でいえば日本代表FLリーチ・マイケルより7cmも長身だ。昨年11月の直接対決でも先制トライを奪われるなど大暴れを許している。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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