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ラグビー日本代表、W杯直前「1勝5敗」の現実 4年前から1試合平均「10.8得点」減少の要因は?

ラグビー日本代表はワールドカップ(W杯)フランス大会前最後のテストマッチでも、課題を残して開幕へのカウントダウンに入った。イタリアの古都トレビーゾで8月26日に行われた同国代表戦は21-42と大敗。残り10分を切って7点のビハインドと食らいついたが、結果的には1度もリードを奪われずに終盤突き放された。W杯前の代表戦(非公認戦を含む)は通算1勝5敗と苦闘続きのまま終了。2019年の日本大会ではプール戦を全勝で突破して史上初のベスト8進出を果たした日本代表だが、躍進を支えた緻密な組織プレーが未完成のままW杯キックオフを迎える。大会初戦まで2週間を切った中、日本は4年前のように輝けるのか。イタリア戦で浮上した課題と弱点、そして学びも読み取りながら、開幕目前の日本代表の実力を検証する。(文=吉田 宏)

イタリアに21-42で大敗した日本代表。W杯直前のテストマッチを1勝5敗で終えて本番に臨む【写真:JRFU】
イタリアに21-42で大敗した日本代表。W杯直前のテストマッチを1勝5敗で終えて本番に臨む【写真:JRFU】

W杯前最後のテストマッチ、イタリアに21-42と大敗

 ラグビー日本代表はワールドカップ(W杯)フランス大会前最後のテストマッチでも、課題を残して開幕へのカウントダウンに入った。イタリアの古都トレビーゾで8月26日に行われた同国代表戦は21-42と大敗。残り10分を切って7点のビハインドと食らいついたが、結果的には1度もリードを奪われずに終盤突き放された。W杯前の代表戦(非公認戦を含む)は通算1勝5敗と苦闘続きのまま終了。2019年の日本大会ではプール戦を全勝で突破して史上初のベスト8進出を果たした日本代表だが、躍進を支えた緻密な組織プレーが未完成のままW杯キックオフを迎える。大会初戦まで2週間を切った中、日本は4年前のように輝けるのか。イタリア戦で浮上した課題と弱点、そして学びも読み取りながら、開幕目前の日本代表の実力を検証する。(文=吉田 宏)

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 日本と変わらない30度超えの古都トレビーゾでのW杯前哨戦は、厳しい結果に終わった。過去の戦績は2勝6敗だが、2014年の初勝利以降では2勝1敗と勝ち越していた相手にダブルスコアで突き放された結果に、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も厳しい現実を受け止めた。

「安定したプレーができない時間帯が多かった。後半にゲームを取り戻そうとしたが、自滅が多すぎた。試合を通じて相手にプレッシャーをかけ続けることができなかった」

 日本はW杯で本当に勝てるのか――。多くのファンが、こんな不安を抱きながら、7月からの代表戦を見守り、応援し続けてきただろう。W杯開幕前のラストゲームを終えた時点で確かなのは、プール戦を勝ち抜くためのチームの完成度は、まだ不十分だという現実だ。キックオフ前にジョセフHCが語っていた「まだ一貫性がない」という言葉が現状をよく表している。

 4大会連続のW杯に臨む先発HO(フッカー)堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)は、離日直前の取材でチームの完成度に好感触を得ていたが、イタリア戦後のインタビューではこんな話をしている。

「敵陣に入ってボールキープを続ければ、トライを獲れるシーンもたくさんありましたし、そこの精度をもっと上げていきながら、トライを獲るという部分で、チームとしてどうするべきかというところがこの試合で少し見えた部分もありました。個人のミスも少なくなってきていますし、チームとしてやるべきことも見えてきたので、いい収穫もあったと思う」

 ポジティブに語ろうという姿勢はベテランとしての配慮だが、トライを獲るまでに至らない現実は、W杯前最後の試合を終えたチームの状態としては厳しい。それでも選手たちは、現実を受け止めながら、9月10日のチリとのW杯初戦、そしてその後に続くゲームへ向けて1歩ずつチームの完成度を高めていくしかない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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