世界記録保持者に挑んだアジア人 新記録より勝利を優先、棒高跳びフィリピン人の熱い世界陸上
アジア人の決勝進出者増加に喜び「鳥肌が立ったよ」
取材エリアでは海外メディアから「いつかデュプランティスに勝てる日が来ると思うのか」と質問が飛んだ。それだけ強い相手。「そのつもりだよ。だから、僕はここにいる。それが今でも僕を突き動かす。だから、まだ努力を続けるんだ」。高い壁があるからこそ、積み重ねてこられた努力。涼しく、爽やかな笑みの奥には熱い闘争心が秘められていた。
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次のターゲットは1か月後の中国・杭州アジア大会。「厳しい戦いになる」。優勝最有力候補でも慢心しない理由がある。
「今大会は(決勝に)アジア人が3人いたんだ。昨年は僕だけだった。素晴らしいことだね。鳥肌が立ったよ。良いステップだ。1人から2人になるのは良いこと、1人から3人になるのはアメージングなことだ」
勝利への貪欲さと謙虚さを兼ね備えたアジア記録保持者。凛とした佇まいは、さらなる伸びしろと可能性を感じさせた。世界大会で再びデュプランティスに挑むのは来年パリ五輪。王者が世界の基準を引き上げてくれたように、オビエナがアジアをさらなる高みに連れていくだろう。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)