NBA制覇で名乗る「世界王者」を揶揄 世界陸上2冠ライルズから滲むプライド「俺たちが世界だ」
ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。第16回は、25日(日本時間26日)の男子200メートルで3連覇したノア・ライルズ(米国)。19秒52(向かい風0.2メートル)で100メートルとの2冠を達成した。会見では米国の他競技での優勝者が「ワールドチャンピオン」と名乗ることを揶揄。陸上界に対する強い責任感と「世界最速」のプライドを滲ませていた。
ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第16回
ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。
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第16回は、25日(日本時間26日)の男子200メートルで3連覇したノア・ライルズ(米国)。19秒52(向かい風0.2メートル)で100メートルとの2冠を達成した。会見では米国の他競技での優勝者が「ワールドチャンピオン」と名乗ることを揶揄。陸上界に対する強い責任感と「世界最速」のプライドを滲ませていた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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陸上界の現状に危機感を滲ませた。ライルズは2015年のウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来、史上5人目の男子100&200メートル2冠を達成。トラックでは「ドラゴンボール」や「呪術廻戦」のポーズを繰り出す、日本アニメ好きの26歳。しかし、陽気なキャラクターが一変、メダリスト会見では鋭く眼差しが変わる話題があった。
「俺たちはもっとやらないといけない。もっと世界に示していかないといけない」
20日の100メートル優勝後にも、他競技と比べた陸上界の露出の少なさを憂いていた。人気向上に必要なことを尋ねられたこの日の会見。「3時間も話す時間ないよね」。笑って返した言葉には、歯痒い思いがある。
「最もつらかったのは、NBAファイナルを見ていて、彼らが頭に『WORLD CHAMPION』とつけているのを見た時だ。何のワールドチャンピオンだよ? 米国(のリーグ)だろ? 米国のことはたまには愛しているけど、それは世界じゃないだろ」
NBAは世界中からトップ選手が集まるが、あくまで国内リーグだと揶揄した。200近くの国と地域から選手が集結する世界陸上。わざわざ他競技を引き合いにしたのも、母国を代表する戦いに強い誇りがあったからだろう。
「俺たちが世界だ。ここにはほぼ全ての国が集まり、戦い、成長し、代表しているものを示すために旗を掲げる。NBAに国旗はないだろ」